こんにちは、ほしくずです。
今回は、介護老人福祉施設いわゆる特別養護老人ホーム(以下、特養)の入所施設の生活相談員業務について解説していきます。
特養には、入所者100名に対して必ず最低1名の生活相談員が配置されています。生活相談員とは、いわゆるソーシャルワーカーと言われるもので、入所されているご利用者やご家族、その他これから入所を考えている方などへの相談援助を主な業務としています。
しかし、実際には相談援助業務以外にも、多くの仕事に携わっています。
今回の記事では、特養の生活相談員業務について、より詳しく解説していきたいと思います。
こんな人におすすめの記事
・特養の相談員って何をしてるのか分からない
・生活相談員が、いつも忙しそうにしているのはなぜ?
・特養の生活相談員として働いてみたい
なかなか見えにくい特養の生活相談員の実態をお話していきますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
特養の生活相談員の1日のスケジュール
まずは、1日のスケジュールについて解説していきます。施設によって多少異なる部分があることをご理解いただいた上で、参考程度にご覧いただければ幸いです。
時間 | 仕事・業務内容 |
8:30 | 朝礼 本日のスケジュール確認・稼働状況の確認 前日からの入所者の状態確認 メールの確認 |
9:30 | ミーティング(事故・状態変化・各種報告・仕事の進捗状況などを通じて、上司よりスーパービジョンを受ける) |
10:00 | 介護・看護職とのミーティング(状態確認、ご家族等への連絡の必要性、受診の有無などを確認) |
10:30 | 入所申し込み者の整理 各種相談・電話対応 事前訪問 受診送迎・付き添いなど |
12:00 | 休憩 |
13:00 | 入所申し込み者の整理 各種相談・電話対応 事前訪問 受診送迎・付き添いなど |
16:00 | 介護・看護職とのミーティング(状態確認、ご家族等への連絡の必要性、受診の有無などを確認) 委員会、会議などへの出席 |
17:00 | 本日の業務まとめ 翌日のスケジュールの確認 |
17:30 | 退社 |
概ねこのようなスケジュールで業務を行っています。時期によっては、請求業務や事業計画・報告の作成、必要に応じて介護業務に入ることもあります。
特養の生活相談員の仕事
生活相談員の仕事は、主に相談援助業務です。入所されているご利用者やそのご家族などの相談に応じたり、ご意向を確認したりすることが主な内容になります。しかし、実際にはもっと多くの業務に携わっていることをご存じですか?
特養の生活相談員の仕事をまとめると、以下のようになります。
特養の生活相談員の仕事
・施設入所に関する問い合わせや申し込みに関する対応
・入退所の手続き・契約や各種申請に関する業務
・ご利用者や家族からの相談に対する対応
・医療機関や関係する事業所、地域などとの連絡や調整
・他職種との連携、サポート、チームマネジメント
相談援助業務以外にも、事務的な仕事や施設の運営に関わる仕事まで、その業務内容が多岐にわかっていることが分かると思います。ここから、ひとつひとつの仕事内容を詳しく解説していきます。
施設入所の申し込みに関する仕事
施設入所に関する仕事は、メイン業務のひとつです。入所の申し込みや新規入所者の調整など、施設の経営に関わる重要な仕事です。
ここで行う業務は、申し込み前の相談・申し込み時の相談・申し込み後の相談の3つに分かれます。
申し込み前の相談
施設入所の申し込み前にくる相談は、入所を希望されている方のご家族やケアマネジャー、医療機関のソーシャルワーカーなどから寄せられます。
ご家族からの相談では、申し込みの仕方に関する問い合わせ・申し込み書の書類に関する問い合わせ・施設の空き状況に関する問い合わせが主な内容になります。
ご家族などからの入所の問い合わせの中では、「ケアマネジャーに申し込めと言われたから連絡した。」という方もいれば、在宅での介護が現に限界に近づいているケースもあり、精神的に追い詰められた結果、連絡をくださる方もいます。
申し込む前に「いつ入所できますか?」と聞かれることもあります。
入所を申し込まれる方、それぞれに事情や想いがありますので、生活相談員としては、きちんと相手の話を聞く姿勢が求められます。
ケアマネジャーや医療ソーシャルワーカーなど、専門職からの問い合わせでは、より具体的な情報や緊急度、状態などを聞くことができますので、聞き忘れなどがないように、相談受付表などを作成しておくと良いと思います。
申込み時の相談
施設入所を申し込まれる場合は、申し込み書を提出していただくことが必要になります。ご家族や担当ケアマネジャーが直接施設に持参される場合と郵送などで送付されてくる場合があります。
直接施設に持参された場合、ご家族もしくは担当ケアマネジャー等から詳しくお話を聞くチャンスですので、受け取るだけでなく、面談という形式をとることをお勧めします。
申し込み後の相談
施設入所を申し込まれた後にくる相談は、ほぼ「いつ入所できますか?」「入所待機順位は、何番目ですか?」など、入所時期に関する内容がほとんどです。
「いつ入所できるか」については、施設に空きができ、かつ対象者がその方である場合になりますので、厳密にはお答えできない内容です。空きができるということは、誰かが亡くなった、または入院期間が長期化して契約解除になったということです。お待ちいただいている方には心苦しいですが、本当にいつ入所できるかは、生活相談員でも分かりません。
稀に、状態が変わった、家族状況が変わった、要介護度が変わったという連絡を丁寧に下さる家族やケアマネジャーもいますので、入所判定の材料にしましょう。
入退所手続き、その他各種申請に関する業務
施設に入所する時や退所になった時は、それぞれ手続きが必要になります。この対応については、基本的に生活相談員が行います。その他、入所された方に必要な申請や手続きなどについても、生活相談員が代行して行う場合があります。
入所・退所の手続き
入所にあたっては、入所契約書・契約書別紙重要事項説明書の取り交わしが必要になります。その他、個人情報の取り扱いに関する同意書、看取り期における意向確認書、広報誌等への写真掲載の同意書、貴重品預かり書などを別途必要とする場合があります。
退所にあたっては、契約解除に関する書類が必要になります。その他、荷物の引き渡しや貴重品の引き渡し確認書なども必要になります。
事業所により、多少異なる部分がありますので、各事業所の書類関係を確認しておくことが必要です。
各種申請に関する代行業務
入所されているご利用者の介護保険更新申請や生活保護券の発行依頼、認定調査の調整などを代行して行う場合があります。どれも入所されている方にとっては必要な手続きになりますので、よく確認しておくことが必要です。
ご利用者やご家族の相談対応
施設に入所されている方やそのご家族の様々な相談に対する業務です。
施設側からご相談する場合とご利用者・ご家族側から相談がくる場合があります。
施設側が相談する主な内容は、以下のとおりです。
施設側からの相談
・受診の必要性、付き添いに関する相談
・看取り期の対応に関する相談
・状態に合わせた施設側の対応に関する相談
などになります。
ご家族等から寄せられる主な相談内容は、以下のとおりです。
ご家族等からの相談
・利用料金に関する相談
・相続に関する相談
・外出、外泊に関する相談
・施設変更に関する相談
・体調や様子などに関する問い合わせ
などになります。
それぞれの状態や家族状況に合わせて、生活相談員だけでなく各専門職と連携しながら対応していく必要があります。
医療機関や関係する事業所、地域などとの連絡や調整
施設の窓口として、医療機関や関係各事業所、地域などとの連絡・調整を行うことも大切な仕事です。
入院中のご利用者の状態把握を行ったり、居宅介護支援事業所等へ営業活動を行ったり、地域行事への参加やニーズの掘り起こしなどを行います。
外部機関との連携や地域とのつながりは、施設を運営していく上では重要な要素です。
生活相談員は、施設の顔として関わるわけですので、責任重大な業務内容と言えます。
他職種との連携、サポート、チームマネジメント
入所されているご利用者が、安心して生活していくためには、介護職や看護職との連携は欠かせません。
ご利用者のアセスメントやご家族の要望などをもとに、その方に必要なケアの内容や医療的なリスクや対応を検討したり、お互いの専門性や価値観のすり合わせを行ったり、生活相談員はチーム全体を見ながら、連携・調整していくことが求められます。
その中では、自分の感情や価値観に向き合うことが必要で、独りよがりのケアや自己満足の支援にならないように、自信をコントロールしていくことが重要になります。
その他の仕事
様々な場面において、関わりを持ちながら調整・連携していく仕事がM生活相談員としての役割になりますが、その他にも多くの施設で生活相談員が担っている仕事があります。
苦情・意見の窓口と介護報酬の請求業務です。
施設によっては、介護主任や事務職員が行っている場合もあると思いますが、私が勤務した施設では、この2つも生活相談員としての業務でした。
特養の生活相談員の仕事・業務内容まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、特養で働く生活相談員の仕事・業務内容について以下のことをお話してきました。
この記事でお話した内容
・特養の生活相談員の1日のスケジュール
・特養の生活相談員の仕事
・各業務についての概要
・仕事を行う上で重要な考え方
生活相談員の仕事は「報告・連絡・相談」を基本として、そこにプラスαそこに関わる人たちの想いを受け止めることです。
ぜひ、多くの方が、生活相談員の仕事に興味を持ち、チャレンジしてくれることを願っています。