こんにちは、ほしくずです。
皆さん、施設で行われている会議はうまくいっていますか?
ケース会議、サービス担当者会議、部署会議、委員会など、施設を運営していく中では多くの会議が行われていると思います。せっかく時間を使って会議を行うわけですから、意味の会議にしたいですよね。
しかし、現実はどうでしょうか?
・意見がぶつかるだけで、雰囲気が悪くなってしまう
・意見を言う人が限られている
・根拠や理論より、感情が優先されてしまう
それぞれの考え方や感情の中で、話がうまくまとまらず、結論が出ないなんていうこともあるのではないでしょうか。
生活相談員は、ご利用者や家族の意見を踏まえながら、介護職員や看護職員など各専門職の意見や考え方を取りまとめ、会議をマネジメントしていくことが求められます。ここで陥りやすいのが、自分が答えや結論を出さなければいけないと思ってしまうことです。
会議をやる以上は、何かしらの結論を出したいですよね?その気持ちの焦りから、無理に結論を出そうとしてしまうと、そこに摩擦が生じやすくなってしまいます。
意義がある会議にするために必要なのこと、それは...
意味のある会議にするポイント
「説得」より「納得」を作り上げること
誰かの意見のみが採用されたり、生活相談員のみが結論づけるのではなく、皆が納得できる会議にすることが重要です。
「そんなのできるわけないじゃん!」と思われるでしょう。
そう、全ての人に100%納得してもらうわけではありません。むしろ、全員が納得する形なんて、この世には存在しないはずです。
ここでいう「納得」とは、「多くの意見が取り入れられた合意形成を作り上げること」です。
今回は、その具体的な手順について解説していきたいと思います。
この記事でお伝えする内容
・会議をする目的
・会議を有意義に進めるためのルール
・会議の進め方
感情のぶつかり合いや限られた人間だけの意見が優先される会議から、皆が納得できる意義がある会議に変えていけるように考えていきましょう。
会議の目的は何か?
皆さんの事業所でも、日々さまざまな会議が行われていると思います。
「ケース会議」や「サービス担当者会議」などご利用者に関わるものから、「運営会議」や「各委員会の会議」など施設の経営や運営に関わる内容まで、あらゆる事を決定する時には、会議が必ず行われています。
そう、会議は「意思決定」を行う場であるのです。
「納得」を生み出し、「合意形成(コンセンサス)」を作り上げることが、会議を行う重要な目的です。
逆に言うと、「何を決めるのかはっきりしない」「目的が明確でない」会議は、ただ時間を無駄に消費するだけになってしまいます。
会議を行う際には、「何を決める会議なのか」を明確にして行うことがポイントです。
会議がうまくいかない理由
まず、会議がうまくいかない理由について考えていきましょう。
会議がうまくいかない、まとまらない時には次のようなことが要因としてあげられます。
会議がうまくいかない理由
・感情の対立になっている
・職員同士の関係性、好き嫌いがある
・相手の話を聞かない人、聞こうする姿勢でない人がいる
・憶測による判断、理由や根拠が曖昧
このようなことが会議で起きていないか確認してみましょう。この中で、ひとつでも当てはまるものがあれば、会議がうまくいっていない可能性があります。
会議について点検をしたところで、会議をうまく進行していくためのルールについて説明していきます。
意義がある会議にするためのルール
会議を有意義なものにするためには、一定のルールに従って行うことが有効です。
会議を行う上では、以下の5つのルールに従うことをお勧めします。
会議のルール
1.各々が意見を持ち、発言すること
2.全ての意見やアイディアを受け入れる姿勢であること
3.否定や非難、高圧的な態度を禁止
4.結論を出すこと
5.価値観や多様性を学ぶ機会であること
それぞれのルールについて、もう少し詳しく説明していきます。
ルール① 各々が意見を持ち、発言すること
与えられた議題に対して、各々が自分自身できちんと考えて、発言することが重要です。
まず、自分の考えを持つことは、課題に対して意識を向けるとともに、自分自身の考え方を整理することにつながります。
自分の考えを持たないということは、その課題に対して無責任あるいは、関心がないということと捉えられてしまいます。
まずは、自分自身で考えをしっかり持つということを心がけましょう。
そして、会議では自分の意見をきちんと伝えるようにしましょう。いくら優れている意見でも、発言しなければ検討されることはありませんし、会議の決定や結論に反映させることができません。つまり、意味のないものになってしまいます。
また、会議の後に「実は、僕は○○思ってたんだ。」「これは違うと思う。」と言ったところで、決定や結論に何の影響力もありません。さらに、自分だけが想っているならまだしも、誰かに言い回ったり、同意を得ようとする行為は、認識のズレや摩擦を生じさせる結果になります。
会議のルール①
自分の意見を持ち、会議できちんと発言すること
会議に臨む上での基本的な姿勢です。必ず実践していきましょう。
ルール② 全ての意見やアイディアを受け入れる姿勢であること
会議は「多くの意見を取り入れた合意形成を作り上げること」です。
そのためには、あらゆる全ての考え方やアイディアが取り入れられなければなりません。一部の優れた意見や強い主張に流されるだけでは、「納得」を作り上げることができません。
また、そのような会議が常態化してしまうと、「またあの人の意見が採用されるんでしょ。」「私が意見を言っても仕方がない。」といった会議に対して消極的な姿勢を形成してしまいます。
なるべく多くの意見があったほうが、会議をまとめやすくなりますし、より納得の得られる結論に結びつけることができます。
会議のルール②
全ての意見やアイディアを受け入れる姿勢であること
一部の意見に囚われれず、さまざまな意見に耳を傾けると、視野も広くなりますよ。
ルール③ 否定や非難、高圧的な態度を禁止
多くの意見やアイディアを出してもらうためには、話しやすい・発言しやすい環境が必要です。
自分の意見を言うことに抵抗を感じたり、不安を感じさせるような雰囲気は避けるべきです。
意見に対しての否定や非難、または高圧的な態度(大きな声、睨むような視線など)は、発言を躊躇したり、活発な意見交換を妨げることにつながります。攻撃的な発言や一方的なやり取りでは、意義がある会議を行うことはできません。
会議のルール③
否定や非難、高圧的な態度を禁止
感情的なぶつかりあいでなく、多くの意見の中から「納得」を作り上げていきましょう。
ルール④ 結論を出すこと
会議の最後には、必ず結論を出しましょう。
その会議の中で、「何が決まり」「どう行動していくのか」を具体的に示します。ケース会議などで対応を検討した場合などは、「次はいつ評価するのか」「誰がいつまでに何をするのか」も明確にしておきましょう。
結論がはっきりしていると、行動しやすくなりますし、具体的であるほど精度も高くなります。
会議のルール④
会議の中で得られた「納得」に対して結論を出すこと
ここで注意点としてお伝えしたいのが「結論が全て正しい決定ではない」ということです。会議で出た結論は、その会議の中で「納得」して出されたものですが、実践していく中で当然修正点が出てくるはずです。そうなれば、その都度対応等について修正していけば良いので、「結論」が出たからと言って、疑問やズレを放置しておく必要はありません。
あくまで会議の中で得られた結論であって、その後の修正や評価、見直しはどんどん行っていくべきだと思います。
ルール⑤ 価値観や多様性を学ぶ機会であること
会議には、さまざまな専門職や役職の人が参加しています。また、同じ職種であっても経験や価値観などから、考え方も違います。会議では、そういった多くの視点からの意見を聞くことができます。
それゆえに、会議は学びの場でもあるのです。今まで考えたり、触れることのなかった価値観に関わることで、自身の成長につなげることができます。
会議のルール⑤
価値観や多様性を学ぶ機会であること
「自分の意見が正しいのに」とか「自分の考えが認められない」のではなく、皆それぞれ違っているということに気づけると、自分の仕事の幅も広がっていくと思います。
あまり「私はこう想う」にばかり固執してしまうと、可能性を狭めるばかりか、周りとの軋轢を生んでしまうかもしれませんので、注意しましょう。
会議のルールが浸透するまでは、会議開始の際に確認し合うなど、会議に向かう姿勢を確認すると良いと思います。
ルールを理解し、会議を行うことで意義がる会議を作り出すことができますので、実践してみて下さい。
ここからは、会議の進め方についてお話していきます。会議は、司会にも参加者にもスキルが必要です、特に司会者は、会議を円滑に進めていくための重要な役割です。司会者のやり方次第で、会議の質が決まるといっても過言ではありません。
今回は、会議の司会をする方のために、会議の進め方も紹介していきたいと思います。
会議の進め方について
会議を進める際のポイントについて解説していきます。この手順に沿って会議を行えば、意義がある会議にしていくことができます。
会議の進め方のポイントは、以下の5つです。
会議の進め方
1.オープンクエスチョンから始める
2.考える時間を与える
3.意見を出しやすい仕組み
4.意見をまとめて結論を出す
5.会議の記録に経緯示す。
進め方① オープンクエスチョンから始める
オープンクエスチョンとは、答えに幅のある質問です。例えば「○○様の食事の進め方について、どのような方法がありますか?」とか「最近の○○様の日中の落ち着かない様子について、どんな事が可能性として考えられますか?」などです。
オープンクエスチョンは、さまざまな視点から多角的に意見を出すのに有効です。会議は「多くの意見を取り入れた合意形成を作り上げる」ことが目的ですので、なるべく意見を出しやすい質問から始めると、会議が活発になります。
逆にクローズドクエスチョン、つまり「有りか無しか」「正しいか間違っているか」などの質問は、対立構造が生じやすく、意見が出にくい会議になってしまいます。
会議の進め方①
オープンクエスチョンから始める
いろいろな意見を引き出すために、答えやすい質問から始めることを心がけましょう。
進め方② 考える時間を与える
会議には、考えを持って臨んでもらうことが重要です。
そのために、事前に会議の目的(何について話し合うのか)を具体的に伝えておき、考える時間を与えましょう。もし突発的な会議であれば、考える時間を作るようにします。
多くの意見を必要とする会議では、きちんと考えてもらうことが重要です。
会議の進め方②
考える時間を与えること
時間の制約はあるかもしれませんが、意見が出やすいように、考える時間をきちんととるべきです。
進め方③ 意見を出しやすい仕組み
司会者は、全ての参加者から多くの意見を引き出すことができるように進行していかなくてはなりません。
司会者の話し方や質問の仕方などを工夫して、意見を出しやすい雰囲気にしていく事が求められます。
会議の進め方③
意見を出しやすい仕組みや雰囲気を作り出す
とはいっても、いきなりうまく進行することは難しいので、意見を出しやすくする方法として代表的な「付せんを使った会議」をお勧めします。
会議の参加者に付せんを配り、1枚につきひとつの意見を書いてもらいます。なるべくたくさん書いてもらうことで、会議が有意義になることをお伝えし、周りと相談しながらでも良いので、どんどん書いてもらうように声をかけましょう。
ある程度時間を設けたら、ひとつずつ順番に書いたことを発表してもらいます。簡潔で分かりやすい意見が出てきやすくなりますので、司会者も発言者も進行がしやすくなります。
ぜひ試してみて下さい。
進め方④ 意見をまとめて結論を出す
会議では何が決まったかを結論付けることが必要です。
ここまでで、多くの意見が出ていればいるほど、意見をまとめるのは容易になります。また、多くの意見が取り入れられた結論を出しやすいため、「納得」も得やすくなります。
会議の進め方④
意見をまとめて、結論を出す
「付せんを使った会議」をしていれば、やり方は簡単です。同じような意見をまとめて、その中で「優先順位の高いもの」「緊急性の高いもの」「すぐに実践できるもの」などに分けて、どの順番で何をしていくのかを決めていきます。
多くの意見をまとめたものですので、合意形成を作り出すことも容易です。
まとめたものを最後に結論としてお伝えしましょう。
進め方⑤ 会議録に経緯を示す
会議を結論付けたら、きちんと会議録を残しましょう。
その際に、ただ結論を示すだけでなく、どのような合意形成のもので決定したのか、その理由や根拠も合わせて記載しましょう。
会議の進め方⑤
会議録に経緯を示す
理由は簡単です。会議に参加していない人に結論だけ伝えても納得が得られませんし、会議に参加して人も時間の経過とともに記憶が曖昧になってきます。「理由」や「根拠」が曖昧のままでは、認識のズレが生じやすく、自己判断や独りよがりの対応になりやすくなってしまうからです。
「なぜ、これをやっているのか」これがブレないように、会議録に経緯も含めて残しておくことが重要です。
意義がある会議にする方法 まとめ
いかがだったでしょうか?
会議は、あらゆることを決定するために重要なプロセスです。大切なことは、会議を通じて決定されます。会議の質が上がれば、その結論の質も上がります。
そのために「会議のルール」を決めておくこと。
会議のルール
1.各々が意見を持ち、発言すること
2.全ての意見やアイディアを受け入れる姿勢であること
3.否定や非難、高圧的な態度を禁止
4.結論を出すこと
5.価値観や多様性を学ぶ機会であること
スムーズな会議の進行を行うこと。
会議の進め方
1.オープンクエスチョンから始める
2.考える時間を与える
3.意見を出しやすい仕組み
4.意見をまとめて結論を出す
5.会議の記録に経緯示す。
この2つが重要になります。サービスの質の向上や適切な運営を実践していくために、ぜひ意義がある会議を開催してください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。