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【保存版】介護事故が発生した時の生活相談員の対応手順 ※連絡の具体例あり

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ほしくず

生活相談員(社会福祉士,介護福祉士,介護支援専門員,実習指導者) デイサービス、ショートステイ、特養の生活相談員を15年以上経験して感じた相談員の楽しさ、業務に役立つ情報、楽しく働くコツをわかりやすく解説。現役だから分かる仕事のテクニックや情報をお届けします。

 こんにちは、ほしくずです。

 今回は、介護現場で事故が発生した際の生活相談員がするべき対応について、順番に解説していきます。

 転倒・転落などの事故が発生した場合、必ず生活相談員に報告がきます。そして、その事故の状況などに応じて、的確にスピード感をもって対応することが求められます。

 事故が発生した場合に、生活相談員が対応する内容については以下のとおりです。

事故発生時の対応内容

①事故発生時の事実確認

②ご家族等への連絡と謝罪

③施設長など責任者・管理者への報告

④受診などの対応

⑤事後の対応

 この内容を正確に素早く行うことが重要です。

 事故などのネガティブな事象は、時間が経つほど対応が難しくなっていきます。特にご家族への対応については、時間の経過とともに負の感情が大きくなっていくことを理解しておき、できるだけ素早く丁寧に行うことが重要です。

 しかし、現実に事故の報告を受けた場合、生活相談員自身も動揺してしまい、何をどう対応して良いのか分からなくなってしまうことがあります。

 私自身も、かつては事故の報告を受けた際に、どうして良いか分からず、ご利用者や家族、現場職員に多大な迷惑をかけてしまった経験があります。キャリアを積んでいても、常に落ち着いて対応することは難しいです。

 今回は、万が一事故が発生してしまった場合でも、落ち着いて確実に対応できるように、その手順に沿って解説していきたいと思います。

この記事が参考になる人

・経験が浅い生活相談員

・事故対応を行ったことがない生活相談員

・事故発生時の対応を確認しておきたい生活相談員

 事故など、現場が困った時に頼られるのが生活相談員です。どんな時でも冷静に対応できるように、しっかりと準備しておきましょう。

転倒・転落事故における大前提

 施設として、事故が起きないにこしたことはありません。ご利用者も家族も、現場職員も事故がなく安全に暮らすことができれば、それが一番です。しかし、生きている以上、事故を100%防ぐことはできません

 考えてみて下さい。私たちも、日常生活の中で、躓いたり、ぶつけたりすることってありますよね?

 健康である私たちでさえ、転んだりしてケガをするわけですから、身体的な障害や疾病があるご利用者は、私たちよりもさらに高いリスクがあるわけです。

 そして、私たちの仕事は、限られた人数で、多くのご利用者に関わらなければなりません。常におひとりおひとりにマンツーマンで対応できるわけではありません。見えない所で転倒や転落が起こる可能性も十分考えられるわけです。

事故を完全に防ぐことはできない

 これが大前提としてあるわけです。

 このことについて、生活相談員としては、ご利用していただく前に、ご利用者とご家族にきちんと説明し、理解しておいてもらうことが重要です。

 転倒・転落等のリスクについては、必ずお伝えをしておきましょう。

事故発生時の対応について

 まず、事故発生の一報を受けたら、現場に向かいましょう。ご本人の状態・様子を確認し、看護師と連携しながら緊急性などを確認していきます。

 ケガの具合や症状によっては、救急対応などが必要になります。ご利用者の安全・命が最優先ですので、まずは、そのための行動を優先しましょう。

 救急対応となった場合は、すぐにご家族への連絡が必要になりますので、対応が決まり次第、次の「手順① 事故の事実確認」に従って、事故の概要を確認し、ご家族へ報告できるように準備をしましょう。

 緊急でなくても、受診が必要となった場合もご家族への連絡が必要です。同じく「手順① 事故の事実確認」を速やかに行い、連絡をしましょう。

 緊急性・受診等が必要ない場合、事故要因の分析と再発防止策の検討のため、事故の事実確認を行います。

事故発生時の対応手順① 事故の事実確認をする

 事故が発生した場合、事故の発生場所や事故の状況について事実確認を行います。なるべく早く正確に行うことが重要です。

 時間が経過してからだと、記憶が曖昧になったり、正確に分析することができなくなるので、スピード感を持って行いましょう。

 ここで重要なポイントがあります。

チェック

ここで行う事実確認は、犯人探しではありません

 事故が発生すると、誰もが嫌な気持ちになります。特に発見者や当事者は、気が動転してしまい、不安な気持ちに襲われてしまいます。

 この状況で、「なんで見守りしてなかったの?」「誰の責任なの?」と犯人探しをして問い詰めても意味がありません。

チェック

同じことが起きないように対策を考えるための事実確認

であることを理解し、正確な情報を得られるように努めましょう。

 生活相談員は、周囲が慌てていたり、動揺している場面でも、できるだけ落ち着いた口調で、発見者や当事者だけでなく、その場に関わった職員に対して事実確認を行うようにしましょう。

 事実確認のポイントは以下のとおりです。

ポイント

いつ...できるだけ正確な時間

どこで...居室や廊下といった広い範囲ではなく、どの場所なのかまで具体的に

どのような状態で...「転倒していた」ではなく、例として「左半身を下にしている状態で、ベッド脇にある車椅子のフットサポートのあたりでうずくまるようにしていた。靴は片方が脱げている状態で、車椅子のブレーキはかかっていなかった」など具体的に

痛みや受傷部位...骨折の可能性、出血の状況など

受診の必要性の確認

 上記のポイントを意識しながら、時系列にまとめていきましょう。

事故発生時の対応手順② ご家族等への連絡と謝罪

 事実確認ができたら、速やかにご家族へ連絡をしましょう。

チェック

事実を正確に伝え、素直に謝罪する

 まずは、きちんと誠意を持って謝罪しましょう。施設側の過失の有無や事故要因などに関係なく、ご利用者に痛いをさせてしまったことご家族にご心配をかけてしまったことに対し、謝罪をします。

 「事故は100%防ぐことはできない」

というのが大前提としてありますが、ご家族にとっては大切な家族のひとりです。ご家族の心情をきちんと理解し、丁寧に謝罪をすることが重要です。

 謝罪連絡の具体例を紹介しますので、よろしければ参考にしてください。

相談員:「お忙しいところ失礼します。いつもお世話になっております。特別養護老人ホーム〇〇のほしくずです。今、少しお時間よろしいでしょうか?」

 「ありがとうございます。〇〇様の状態についてご連絡させて頂きました。〇〇様ですが、本日の〇〇時頃、〇〇(場所)で転倒されている事を発見いたしまして、今現在の状態についてのご報告になります。左の太もものあたりの痛みを強く訴えられていまして、少し動かすだけでもかなり痛みが強い様子です。骨折の可能性もありますので、受診をさせて頂きたいと思っております。この度は、ご心配をおかけし、大変申し訳ございません。」

 このような内容で、落ち着いた口調でお話していきましょう。ご家族の反応やお気持ちに応じて、その後の話し方も臨機応変に対応していく事が必要です。

ご家族が転倒に関してある程度の理解されている場合

 上記の内容をお伝えしてみて、ご家族の反応が下記のような内容であった場合、ある程度はご理解頂けている状況であると判断できます。

ご家族:「こちらこそご迷惑をおかけしてすみません。自分で動くからね。仕方ないと思います。かえってすみませんね。ご連絡いただきありがとうございます。」

 このような反応であれば、生活相談員としても一安心できる状況です。続けて下記のようにお伝えしましょう。

相談員:「ありがとうございます。痛みも強いので、これから受診になると思いますが、骨折などで入院や手術が必要となった場合、ご家族にも病院に来ていただく必要がありますので、その際はまたご連絡させて頂きます。この度は、ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした。また経過をご連絡させて頂きます。失礼いたします。」

 受診が必要な場合、ここで付き添い可能か合わせて確認しましょう。

ご家族が納得されていない可能性がある場合

 必ずしも全てのご家族が、納得されるわけではありません。下記のような反応の場合、不満を抱いている可能性があります。

ご家族:「なんでそんな事になったんですか。ちゃんと見ていなかったんじゃないんですか?骨折でもしてたらどうするんですか。」

 このように直接的に不満を言ってくださる場合もありますが、そうでない場合もあるので、気持ちを十分汲みとる必要がありますので、慎重に対応して判断しましょう。

 感情的にお話される場合、無理に収めようとするのではなく、ご家族のお話をしっかり聞くようにしましょう。無理に収めようとすると、かえって逆効果になります。十分お話をお聞きした上で、事故の状況を丁寧にお伝えしていきましょう。

相談員:「(確認した事実を具体的に) 左半身を下にしている状態で、ベッド脇にある車椅子のフットサポートのあたりでうずくまるようにして倒れておりました。靴は片方が脱げている状態で、車椅子のブレーキはかかっていませんでした。ご本人はトイレに行きたかったとお話されていましたので、ご自分でどうにかトイレに行こうとされたようです。私たちもすぐに気づくことができず、申し訳ありませんでした。」

 状況をイメージしやすいように、具体的に丁寧にお伝えしましょう。

チェック

相手の話を十分にお聞きし、焦らずゆっくり話すことを意識

 なかなか収まらない場合は、再度丁寧に謝罪し、一旦電話を置きましょう。

 話がこじれてしまいそうな場合は、生活相談員だけで判断せず、上司に相談することが大切です。

事故発生時の対応手順③ 責任者・管理者など上司への報告

 事実確認やご家族への電話連絡と並行して行うことが多いと思います。

 上司などへの報告は、その時点での判断や対応に誤りがないか確認するとともに、その後の対応についての助言・アドバイスをもらうために行います。

 事故対応は、いくら経験がある生活相談員でも動揺してしまいます。視野が狭くなり、判断を誤ってしまう場合もありますので、適宜上司に報告しながら進めていきましょう。

 これは、自分を守るためでもあります。

 事故の内容やご家族の反応などによっては、施設で加入している損害保険の適用範囲なども合わせて確認しておくと良いと思います。

事故発生時の対応手順④ 受診の対応

 受診が必要な場合についての対応です。

 受診前に、ここまで対応してきた内容を職員間で共有しておきましょう。

 受診に際しては、生活相談員が受診先で改めてご家族とお話しできるように、相談員も付き添うことをおすすめします。

 ご家族と直接やりとりしている生活相談員は、ご家族の心情や言葉のニュアンスなどを感じとり、細かい部分にまで配慮してご家族とお話しできるからです。この場面で、改めて説明と謝罪も行いましょう。

 また、受診結果やご家族とのお話の中で、保険等の話になった場合も相談員がその場にいた方が、話がスムーズに進みます。

事故発生時の対応手順⑤ 事後の対応

 ここまできたらもう少しです。

 事後対応の内容については、次のとおりです。

事後の対応

事故状況からの要因分析と再発防止策の検討

ご利用者、ご家族へのフォロー ※その後の受診対応や損害保険などに関する事項、気持ちへの配慮

事故が起こるリスクの説明

 ご家族に対しては、改めて事故に対する謝罪とご心配をおかけしたことに対するお詫びをお伝えします。合わせて、今後のご本人への関わり方についてお話しますが、「動かれる時は必ず付き添う」や「転倒しないように見守る」など、体制的に不可能な事は避けましょう。

事故発生時の生活相談員の対応まとめ

 いかがだったでしょうか。

 今回は、事故発生時の生活相談員の対応についてまとめてきました。

事故発生時の対応内容

①事故発生時の事実確認

②ご家族等への連絡と謝罪

③施設長など責任者・管理者への報告

④受診などの対応

⑤事後の対応

 事故発生時に大切なのは、正確さとスピード感を持って対応することです。合わせて、ご家族の心情をしっかりと読み取って対応することが求められます。

 事故は、100%防ぐことはできません。

 万が一、事故が起きたときには、落ち着いて対応できるように心の準備をしておきましょう。

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