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【重要】介護職員が行える医療行為(医療行為でないと認められたもの)と条件まとめ

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ほしくず

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 こんにちは、社会福祉士のほしくずです。

 今回は、介護職員が行える医療行為について解説していきます。

 正確には、医療行為ではないと認められた行為のことです。

 介護現場には、膀胱留置カテーテルや経鼻経管栄養の方、褥瘡がある方など医療的なケアが必要な方々がおられます。基本的に看護職員が対応することが多いと思いますが、内容によっては介護職員に任されている行為もあると思います。

 その中で、その行為が医療行為ではないかと判断に迷う行為があると思います。これに関しては、厚生労働省の医政局長から介護現場で実施されることが多い行為について通知が出ていますので、ぜひ参考にしてみてください。

医療行為とは?

 「医療行為」とは、「当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)」と定義されています(厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」以下「厚労省通知」といいます)。

医療行為でない行為(平成17年7月26日通知)と条件

 この通知により医療行為ではないと認められた行為は以下のとおりです。

 条件も含めて確認していきましょう。

医療行使でない行為

1,体温測定

2,自動血圧計での血圧測定

3,新生児以外にパルスオキシメーターを装着、測定

4,切り傷、擦り傷、やけど等について専門的判断や技術を必要としない処置

5,軟膏塗布、湿布貼付、点眼、一包化された内服薬の内服、坐薬挿入・点鼻介助

6,日常的な歯のブラッシング、口腔内の清拭

7,正常な状態の爪を爪切りで切る、ヤスリをかける

8,耳垢除去

9、パウチ内の排せつ物の廃棄

10、自己導尿の補助(カテーテルの準備、体位の保持など)

11,市販のグリセリン浣腸で行う浣腸

行為①:体温測定

 水銀体温計・電子体温計でわきの下で体温を測定及び耳式電子体温計で外耳道で体温を測定することができます。

条件

事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

行為②:動血圧計での血圧測定

 自動血圧測定器による血圧の測定ができます。

 ※半自動血圧測定器(ポンプ式を含む。)を用いての血圧測定(令和4年12月1日通知にて追記)

条件

事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

行為③:生児以外にパルスオキシメーターを装着、測定

 パルスオキシメータによる動脈血酸素飽和度の測定ができます。ただし、新生児でないことと入院治療が必要ない患者であることが必要です。

条件

・事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

・測定された数値を基に投薬の要否などを判断することは不可
※事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

行為④:切り傷、擦り傷、やけど等について専門的判断や技術を必要としない処置

 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等の処置、また、切り傷、擦り傷、やけど等に対する応急手当を行うことも可能です(汚物で汚れたガーゼの交換を含む)。

条件

専門的な判断や技術を必要としないこと

行為⑤:軟膏塗布、湿布貼付、点眼、一包化された内服薬の内服、坐薬挿入・点鼻介助

 皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)や皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧の介助が可能です。

条件

①患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること
②副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと
③内用薬については誤嚥の可能性、座薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法
 そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと
※上記3条件を満たす前提として、以下のことが必要
・条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認していること
・上記の者でなくても医薬品の使用の介助が出来ることを本人又は家族に伝えていること
・本人又は家族の事前の依頼に基づいていること
・医師または歯科医師による処方があること
・あらかじめ薬袋等によって医薬品が患者ごとに区分され授与されていること
・薬剤師による服薬指導があること
・看護師の保健指導・助言を遵守していること

行為⑥:日常的な歯のブラッシング、口腔内の清拭

 歯ブラシや綿棒や巻き綿子などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすることができます。

条件

重度の歯周病等がないこと

行為⑦:正常な状態の爪を爪切りで切る、ヤスリをかける

 爪切りで爪を切ること、爪ヤスリでやすりがけすることができます。

条件

・爪そのものに以上がないこと
・爪の周囲の皮膚にも可能や炎症がないこと
・糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でないこと

行為⑧:耳垢除去

 耳垢を取り除くことができます。

条件

耳垢塞栓の除去は不可である

行為⑨:パウチ内の排せつ物の廃棄

 ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てることができます。

条件

肌に接着したパウチの取り替えは不可である

行為⑩:自己導尿の補助(カテーテルの準備、体位の保持など)

 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持のための介助を行えます。

条件

導尿を直接行ったり、カテーテルの挿入などは不可である

行為⑪:市販のグリセリン浣腸で行う浣腸

 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いて浣腸することができます。

条件

※浣腸器の条件
・挿入部の長さが 5 ~6 センチ程度以内、グリセリン濃度 50%
・成人用の場合で 40 グラム程度以下の容量のもの
・6 歳から 12 歳未満の小児用の場合で 20 グラム程度以下の容量のもの
・1 歳から 6 歳未満の幼児用の場合で 10 グラム程度以下の容量のもの

医療行為ではない行為(令和4年12月1日通知)

 この通知により医療行為ではないと認められた行為は以下のとおりです。

 条件も含めて確認していきましょう。

医療行為ではない行為

12,インスリン注射に関する行為

13,血糖測定に関する行為

14,経管栄養に関する行為

15,喀痰吸引に関する行為

16,在宅酸素療法に関する行為

17、在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、人工呼吸器の位置の変更

18、膀胱留置カテーテルに関する行為

19、行為⑤に追加...爪白癬にり患した爪への軟膏・外用液の塗布、吸入介助、水剤の内服介助

20、とろみ食を含む食事の介助

21,義歯の着脱及び洗浄

行為⑫:インスリン注射に関する行為

 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、あらかじめ医師から指示されたタイミングでの実施の声かけ、見守り、未使用の注射器の患者への手渡し、使い終わった注射器の片付け及び記録を行うことができます。

 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、患者が血糖測定及び血糖値の確認を行った後に、介護職員が、当該血糖値があらかじめ医師から指示されたインスリン注射を実施する血糖値の範囲と合致しているかを確認することができます。

 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、患者が準備したインスリン注射器の目盛りが、あらかじめ医師から指示されたインスリンの単位数と合っているかを読み取ることができます。

条件

・注射器の針を抜き、処分する行為は不可
・患者の血糖値や食事摂取量等が不安定でないこと
※事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

・患者の血糖値や食事摂取量等が不安定でないこと
・測定された数値を基に投薬の要否などを判断することは不可
※事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

・患者の血糖値や食事摂取量等が不安定でないこと
※事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

行為⑬:血糖測定に関する行為

 患者への持続血糖測定器のセンサーの貼付や当該測定器の測定値の読み取りといった、血糖値の確認を行うことができます。

条件

・患者の血糖値や食事摂取量等が不安定でないこと
・測定された数値を基に投薬の要否などを判断することは不可
※事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医または看護職員に報告すること

行為⑭:経管栄養に関する行為

 既に患者の身体に留置されている経鼻胃管栄養チューブを留めているテープが外れた場合や、汚染した場合に、あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うことができます。

 経管栄養の準備及び片づけを行うことができます。

条件

・皮膚に発赤等がないこと
・専門的な管理を必要としない患者であること

・栄養等を注入する行為は不可
・栄養等の注入を停止する行為は不可
※以下の3点については医師又は看護職員が行うこと
① 鼻からの経管栄養の場合に、既に留置されている栄養チューブが胃に挿入されているかを確認すること
② 胃ろう・腸ろうによる経管栄養の場合に、び爛や肉芽など胃ろう・腸ろうの状態に問題がないことを確認すること
③ 胃・腸の内容物をチューブから注射器でひいて、性状と量から胃や腸の状態を確認し、注入内容と量を予
 定通りとするかどうかを判断すること

行為⑮:喀痰吸引に関する行為

 吸引器に溜まった汚水の廃棄や吸引器に入れる水を補充すること及び吸引チューブ内を洗浄する目的で使用する水の補充することができます。

条件

介護職員等による喀痰吸引等の研修によって実施できる行為とは別である

行為⑯:在宅酸素療法に関する行為

 患者が酸素マスクや経鼻カニューレを装着していない状況で、あらかじめ医師から指示された酸素流量の設定をすること及び酸素を流入していない状況で、酸素マスクや経鼻カニューレの装着等の準備や、酸素離脱後の片付けを行うことができます。

 以下のいずれかに該当する患者が一時的に酸素から離脱(流入量の減少を含む)したことが見込まれる場合に、酸素マスクや経鼻カニューレを元の位置に戻すことができます。
・ 肢体不自由等により、自力で酸素マスクや経鼻カニューレを戻すことが困難である患者
・ 睡眠中や意識がない状態で、自力で酸素マスクや経鼻カニューレを戻すことが困難である患者

 酸素供給装置の加湿瓶の蒸留水を交換すること及び機器の拭き取りを行う等の機械の使用に係る環境を整備することができます。

条件

・在宅酸素療法を実施しており、患者が援助を必要としている場合
・酸素吸入の開始(流入が開始している酸素マスクや経鼻カニューレの装着を含む)や停止(吸入中の酸素マスクや経鼻カニューレの除
去を含む)は医師、看護職員又は患者本人が行うこと

行為⑰:在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、人工呼吸器の位置の変更

 在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、人工呼吸器の位置の変更ができます。

条件

医師又は看護職員の立会いが必要

行為⑱:膀胱留置カテーテルに関する行為

 膀胱留置カテーテルの蓄尿バックからの尿廃棄(DIBキャップの開閉を含む)ができます。

 膀胱留置カテーテルの蓄尿バックの尿量及び尿の色の確認ができます。

 膀胱留置カテーテル等に接続されているチューブを留めているテープが外れた場合に、テープを貼り直すができます。

 膀胱留置カテーテルを挿入している患者の陰部の洗浄ができます。

条件

・あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行う

・専陰部の洗浄は、専門的管理が必要無いことを医師又は看護職員が確認した場合のみ可

行為⑲:行為⑤に追加...爪白癬にり患した爪への軟膏・外用液の塗布、吸入介助、水剤の内服介助など

 水虫や爪白癬にり患した爪への軟膏又は外用液の塗布(褥瘡の処置を除く)の介助、吸入薬の吸入の介助、分包された液剤の内服の介助ができます。

条件

①患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること
②副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である
 場合ではないこと
③内用薬については誤嚥の可能性、座薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な
配慮が必要な場合ではないこと
※上記3条件を満たす前提として、以下のことが必要
・条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認していること
・上記の者でなくても医薬品の使用の介助が出来ることを本人又は家族に伝えていること
・本人又は家族の事前の依頼に基づいていること
・医師または歯科医師による処方があること
・あらかじめ薬袋等によって医薬品が患者ごとに区分され授与されていること
・薬剤師による服薬指導があること
・看護師の保健指導・助言を遵守していること

行為⑳:とろみ食を含む食事の介助

 食事(とろみ食を含む。)の介助ができます。

行為㉑:有床義歯(入れ歯)の着脱及び洗浄

 有床義歯(入れ歯)の着脱及び洗浄ができます。

医療行為ではない行為と勘違いしやすい行為

 ここまで、厚生労働省の通知により、医療行為ではない行為についてまとめてきました。

 現場の職員では、判断を迷うものもたくさんあると思いますので、条件等含め改めて確認していただくことをおススメします。

 実際に解釈を間違えてしまうと、違法行為になってしまいます。ここでは、特に注意が必要な行為を紹介しておきます。

介護職員が行えない行為

1,褥瘡の処置

2,摘便

3,インスリン注射

介護職員が行えない行為①:褥瘡の処置

 介護職員が褥瘡に関することで行えるのは、ドレッシング材(ガーゼなど)の交換です。創部に対しての軟膏の塗布などを行うことができません

 看護師が創部を確認して「あとはいつも通りによろしく。」というわけにはいかないということです。

介護職員が行えない行為②:摘便

 排せつ介助と勘違いしてしまうことがあるかもしれませんが、肛門から指を入れてかき出す行為は医療行為にあたります。便が肛門部に確認できるからと言って指を突っ込んではいけません。

 ベテランの介護職員や経験のある介護職員だとついやってしまいがちな行為になりますので、注意が必要です。

介護職員が行えない行為③:インスリン注射

 インスリン注射を促す声かけや血糖値測定器の準備はサポートできますが、インスリン注射で注射を行う行為は、糖尿病の治療で医療行為に当たるため行うことはできません。

 これに関しては、注射という行為が医療行為とわかると思いますので、間違うことは少ないかもしれませんが、いつも自己注射している方から、「ここに刺してくれんかの?」などと言われたからといって、安易にその行為をしないように注意してください。

まとめ

 今回は、厚生労働省の通知をもとに、介護職員が行える医療行為ではない行為と認められた行為について解説してきました。

 施設の中で、なんとなくやっていまいがちな行為も含まれていたと思いますが、間違った解釈をしてしまうと違法行為になります。そして、それにより、ご利用者に何か損害を与えてしまうと、さらに大変なことになります。

 今一度、施設の中でチェックしていただくと良いと思います。

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生活相談員(社会福祉士,介護福祉士,介護支援専門員,実習指導者) デイサービス、ショートステイ、特養の生活相談員を15年以上経験して感じた相談員の楽しさ、業務に役立つ情報、楽しく働くコツをわかりやすく解説。現役だから分かる仕事のテクニックや情報をお届けします。

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