こんにちは、社会福祉士のほしくずです。
政府与党は、10月に取りまとめた経済対策の中で、「介護職員の賃上げを実施する」という内容を盛り込みました。
物価高騰が続く中、他産業では今年の春闘で軒並み賃上げが実施され、介護業界からの人材流出が深刻な状況となってきています。そんな中、政府与党は深刻な介護人材不足を食い止めるため、介護職員の賃上げを実施する考えで、2024年2月の実現を目指しています。
果たして、介護業界は他産業に追随して賃上げを実現することができるのでしょうか?
この記事では、賃上げに至った背景や支給範囲、支給方法などについて、現時点で分かっている内容をまとめていきます。
介護職員「月6,000円」の賃上げとは?
政府与党が、10月までにまとめる経済対策の中で、介護職員等の賃上げを盛り込むことを検討しており、月6,000円の賃上げを行うことで最終調整に入っています。
この件に関し、武見敬三厚生労働相が、19日に視察先で「月6000円程度が妥当」と発言したことも話題になりましたね。
他産業が賃上げを実施する中、人材流出を食い止めようと打ち出した施策です。
介護職員賃上げの背景
介護職員の賃上げを行う背景としては、次の2つが上げられます。
ポイント
1、物価高騰が進む中、他産業が春闘にて軒並み賃上げを実施したため、介護業界からの人材流出が進んだこと
2、今後さらに必要とされる介護人材の深刻な労働力不足による介護崩壊を防ぐため、緊急の処遇改善対策が必要となったこと
介護事業は、介護保険制度による「介護報酬」という縛りがあります。
他産業のように、物価が高騰し、コストが掛かるようになったとしても、それを価格転嫁することはできないのが介護業界です。今年の春闘では、他産業が平均3.6%の賃上げを実施しましたが、介護業界では平均1%程度に留まっています。
介護事業所が触れられるとしたら、食費や居住費になりますが、ご利用者の負担増につながるだけであるため、積極的に進めるわけにはいかないのが現状です。
介護業界の大々的な賃上げのためには、国が動くしかないんですね。
介護職賃上げの対象範囲は?
2024年2月の賃上げを目指す中で疑問としたがってくるのが、賃上げの対象範囲です。
「介護職の賃上げ」ということは、ケアマネジャーや生活相談員を含め、その他の職種については対象外ということなのでしょうか?
ケアマネジャーについては、介護職の賃上げが優遇される一方で、蚊帳の外状態が続いており、ケアマネジャーのモチベーションの低下が懸念されています。
私は生活相談員という立場ですので、もともと蚊帳の外状態です...
それはさておき、制度と利用者・家族をつなぐケアマネジャーの成り手が減ってしまうと、介護保険制度の根幹を揺るがしかねない状況になる可能性が高くなります。
対象範囲については、ある程度介護事業所の融通の利く形にしてもらいたいですね。
介護職賃上げの支給方法
現在、介護職員の処遇改善においては、処遇改善加算が3つもせっていされており、さらにこれに追加というのは現実的ではないと思います。
また、それぞれの加算算定にあたり、複雑な申請書類を作成することも手間になっている状況です。まずは、現在の加算3つの申請方法を簡素化するとともに、新たな加算についても、簡易的な形にしてもらうことを願うばかりです。
介護職員の賃上げに関するまとめ
介護職の賃上げに関しては、2024年2月の実施予定で調整されています。
しかし、支給範囲や支給方法については、まだ具体的な内容は出てきていません。
介護職員だけでなく、介護に携わる者が不公平感を感じることがない制度設計にして頂きたいですね。
介護職員賃上げに関して、新たな情報が出てきましたら、またこのブログで紹介していきたいと思います。