こんにちは、ほしくずです。
全国的に梅雨入りし、高温多湿の不快な時期になってきました。間もなく6月も終わりを迎えるということで、新人職員にとっては試用期間が終了し、本格的に業務に携わる時期になってくると思います。
こんな人におすすめの記事
・ひとりで契約に行くのが不安
・今さら契約業務について先輩に聞けない
・いざ契約となると何を準備すればいいのか分からない
生活相談員も、先輩職員の指導を受けながら、同行訪問などを経験し、いよいよ独り立ちなんていう頃だと思います。生活相談員の基本業務でありながら、最初の難関となるのが、利用の契約です。先輩職員が難なくこなしている姿を見ながら、自分が実際にする時のイメージを膨らませてくたのではないでしょうか?
しかし、実際に「ひとりでやってみろ」と言われると、一気に緊張と不安が高まってくると思います。
私も実際にそうでした。頭の中ではイメージできていても、いざその現場になると「これで大丈夫だったかな?」「この説明で分かってもらえるかな?」と不安に感じながら行っていました。おそらくご家族にも伝わってしまっていたでしょう(笑)
今回は、そんな独り立ちしたばかりの生活相談員が、利用契約業務を安心して行えるように、実際の契約書の内容を確認しながら、丁寧に解説していきたいと思います。
この記事の内容
○利用契約に行く前に準備すること
○契約書の内容に沿った説明のポイント
○困ったときの対処法
少しでも不安が解消できるように、出来る限りわかりやすくまとめていきます。
初めての契約は誰でも緊張する
まず、初めて契約に行くときの心構えについてお話します。
基本的に初めての契約は、誰でも緊張します。あなただけではありませんので、過度に心配する必要はありません。
むしろ最初から自信満々で出来る天才は稀ですし、変に自信を持っていると準備を疎かにしてしまう可能性もあります。
契約は、「事前準備」と「契約書の内容のポイント」がわかっていれば、基本的にうまくいきます。ですので、この2点についてきちんと押さえておけば、全然大丈夫です。
契約に行く前の事前準備
「準備が9割、実行1割」なんて言われることがありますが、準備がしっかりと出来ていれば、契約は概ねうまくいきます。
つまり、事前準備がしっかりできていれば、何も恐れることはありません。
私も上司に常々言われていた言葉があります。
「準備力があれば、何事もうまくいく。アンテナを張れ、思考を止めるな、あらゆることに想いを巡らせろ」
今でも大切にしている言葉です。
ここでは、事前準備の内容とポイントについて解説していきます。
事前準備で必要なのは以下の4つです。
事前準備の内容
1,契約に必要なものを準備する
2,契約書及び重要事項説明書の中身を確認する
3,考えられる質問に対してのQ&Aを準備する
4,話す話題を準備する
忙しくても、事前の準備を行う時間をしっかりととるようにしましょう。
1,契約に必要なもの
まずは、契約に必要なものを準備していきます。
必要なものは以下の5つ(+1)です。
ポイント
・契約書及び重要事項説明書
・料金表
・事業所のパンフレットもしくは施設の中の様子がわかる画像など
・ご利用時に必要なものや持参するものがわかる一覧表など
・朱肉と捺印マット、自分の印鑑
・(必要であれば)社会保障ガイド活用ガイドなど役立ちそうな本
○契約書及び重要事項説明書・・・事業所によって、ひとつにまとまっている場合や契約書(別紙)重要事項説明書となっている場合があります。製本テープを使用するようであれば、しわの無いように丁寧に製本しましょう。部数については、事業者用とご家族控え用が必要になりますので、2部ずつ準備しましょう。
○料金表・・・ご家族が利用にあたって気になる部分になります。介護保険の利用料と食費や居住費などの実費負担が分かれているものが良いと思います。事業所によっては、契約書の中に料金表が含まれていたり、一定期間(入所であれば30日間、デイであれば週2回、ショートであれば1週間)利用した場合の目安の料金を算出して説明する事業所もあります。そのあたりは、ご家族が分かりやすいような工夫をしましょう。
○事業所のパンフレットまたは画像など・・・実際に利用する施設がどんな所なのか、ご利用されるご本人もご家族も気になるところです。新型コロナウイルスの影響により、事前に施設を見学することなどが制限されている中では、パンフレットや画像を見て頂くことによって安心感が得られる場合があります。
○ご利用時に持参する物が分かる表など・・・施設利用時に持参する物が一目でわかるものを準備しておきましょう。事業所によって持参して頂く物に若干違いがあります。(例:デイサービスはオムツの替えを持参、ショートステイや長期入所は必要ないなど)
○朱肉と捺印マット、電卓、自分の印鑑・・・契約時に捺印頂く時の朱肉と捺印マットを用意しておきましょう。スタンプ台より朱肉の方がきれいに押せます。生活相談員であれば、常に訪問用のかばんにいれておきましょう。
役立つ資料や本・・・これはお守りみたいものですので、必ずしも必要ありません。ご家族から質問があった時に、できるだけすぐにお答えできるように持参しても良いのかなという程度です。
ちなみに私は『現場で役立つ!社会保障制度活用ガイド 2022年版: ケアマネ・相談援助職必携』を常に持ち歩いています。減免制度や生活保護の場合の料金など、わかりやすくカラーでまとめられていて、見開きで確認できるので、ご家族などと一緒に見るにも、とても使いやすいのでおすすめです。
2,契約書及び重要事項説明書の中身を確認する
契約書や重要事項説明書の中身について、きちんと確認しておきましょう。制度改正や介護報酬改定に沿った内容になっていないと、必要な事項が記載されていなかったり、料金が違っていたりすることがあるため、ひとりで準備するのではなく、必ず先輩に確認をして、間違いのないようにしましょう。
一番困るのは、ご家族も気になる料金の部分になります。実際にご利用された後に、請求された料金が違っていると、不信感が募りますので、必ず間違いないように注意が必要です。
3,考えられる質問に対するQ&A
契約の際に、ご利用者やご家族から質問される可能性があることについて、事前に回答を用意しておくと、当日慌てずに済みます。
私が今まで経験した中で、特に多かった質問について下記に示しておきますので、事業所としての回答を用意しておくと便利です。
よくある質問
○男性利用者、女性利用者の数または割合
○ご利用されている方の年齢層
○緊急時の対応方法
○ご利用料金について
○利用料の支払い方法について
○利用をキャンセルする時の連絡
○持ち物
○体調不良の場合の利用について
○送迎方法について
ほぼ回答を用意できる内容ですので大丈夫だと思いますが、不安であればA4用紙にまとめておくと安心できると思います。
4,話す話題を準備する
契約のためだからといって、いきなり契約の話から始め、粛々と進めるだけでは、事情聴取のようになっていまい、ご利用者やご家族との関係づくりにつながりません。また、お互い緊張したままでは、ご利用者やご家族から会話を引き出すことも難しくなります。
アイスブレイクの意味を含めて雑談からスタートして、共通点を見つけていくと良いと思います。
話しのネタ
○無難に天気や季節などの話
○出身地や出身学校の話
○学生時代の部活の話
○(差し支えなければ)自分の家族の話 など
また、急に話題をふられた時のために、知っておいたほうが良いものとしては、「介護保険に関する情勢」「地域包括ケアに関する知識」「自分が働いている事業所が提供しているサービス種別以外のサービス内容」といったところです。
新人の頃は難しいかもしれませんが、後々必要になってくる情報や知識ですので、時間がある時に勉強は欠かさずしておきましょう。
契約書で説明するポイントについて
準備がきちんとできていれば、あとは自宅に訪問(あるいは施設に来ていただく)して、契約書の説明になります。よく保険会社や携帯電話を購入する際に、「目を通しておいてください。」と細かな規約などを渡されますが、人間を相手とする介護保険サービスでは、そうはいきません。
説明や理解に誤解が生まれると、苦情や事故の原因になってしまうからです。ポイントを押さえて説明をきちんと行いましょう。
契約書全ての内容について解説すると、膨大になってしまうので、最低限必要な以下の点について解説します、
ポイント
○利用料金の説明と納入方法
○利用者の解約権及び事業所の解約権
○損害賠償について
○苦情対応について
○利用料金の説明と納入方法・・・料金表などを一緒に見ながら、実際に利用された場合の具体的な料金を提示して納得していただきましょう。もっと利用した場合、少なくした場合と聞かれることも想定し、電卓は必需品です。また、料金の支払い方法も、事業所によってバラつきがありますので、選択肢があるようなら説明して選んで頂くことが必要です。
○利用者の解約権・・・一度利用した場合でも、もし必要無くなればいつでも契約を解除できることをお伝えしましょう。また利用を中止しても、また利用する可能性があるのであれば、無理に解除する必要がないことを合わせてお伝えしておきましょう。
○事業所の解約権・・・これは、集団での生活の中で、利用されるご本人が、他のご利用者の生命に関わる行動やケガをさせるような行動が見られたり、自傷行為などにより自殺をする危険性がある場合などに、事業所側から解約できる権利があるということです。その際には、十分な説明とその後のサービスや必要な機関への連携をすることを合わせてお伝えしましょう。
○損害賠償について・・・サービスを提供している中で、生命・身体・財産等に損害を与えた場合に、その損害を賠償する責任があることを明記している部分です。ここで注意が必要なのは、何でも全て賠償をするわけではないということです。職員など事業所側に明らかに過失が認められ、責任が施設側にあることが明確である事が必要です。例えば、環境を整えていてもご利用者が歩行中に転倒してしまった場合やご利用者に合わせた食事形態で、安全を確認しながら食事をしていたが誤嚥してしまった場合などです。その区別をきちんと説明しておきましょう。
○苦情対応について・・・ご利用している中で、何かお気づきになった点や改善してほしい点があった場合、遠慮なくお話してほしいという旨をお伝えしましょう。苦情と言うと聞こえが悪くハードルが上がってしまいますので、施設のサービスの質向上のために、遠慮なく意見を頂きたいということをお伝えしましょう。
困った時の対処法
さて、十分な準備をして契約書の内容もきちんと理解していても、うまく行かない時はあります。
そんな時は「絶対にひとりで解決しようとしない」ことです。
突発的なことや聞かれても答えられないときなど、焦ってしまい、慌てて適当なことを口走ってしまったり、正確でない情報を伝えてしまう危険性があります。「やばい...」と思った時こそ、いったん落ち着きましょう。
「戻りましたら確認して、すぐにご連絡差し上げます。」
「今すぐお答えできる内容ではないので、いったん持ち帰らせて頂いて検討させていただきます。」
これで十分です。
もし、すぐに回答することを求められた場合は、席を外して上司や先輩職員に電話し対応を確認しましょう。
初めての契約でも安心して対応できる方法まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、初めてサービスの利用契約に行くときに、不安なく対応できる方法について解説してきました。
まとめ
○初めての契約は誰でも緊張すること
○事前準備を十分に行えば、契約はうまくいくこと
○契約書の説明のポイント
○ピンチの時は、ひとりで解決しようとしないこと
入職から3か月が経過し、いよいよ本格的な生活相談員ライフが始まります。
福祉を志す者として、一緒に成長していきましょう。