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【法定研修】事例検討資料:高齢者虐待防止に関する研修

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ほしくず

生活相談員(社会福祉士,介護福祉士,介護支援専門員,実習指導者) デイサービス、ショートステイ、特養の生活相談員を15年以上経験して感じた相談員の楽しさ、業務に役立つ情報、楽しく働くコツをわかりやすく解説。現役だから分かる仕事のテクニックや情報をお届けします。

 施設で使用できる『高齢者虐待防止に関する研修』の資料として使用できる事例検討について紹介します。

こんな方におすすめ

・高齢者虐待防止に関する研修資料を探している

・研修で事例検討をしたい

・どんな研修にすれば良いのか迷っている

 高齢者虐待防止のポイントと事例を通じて学びを深める内容になっていますので、ぜひご活用ください。

高齢者虐待防止に関する研修用動画

 この記事の内容に基づいた研修動画をご用意しましたので、研修動画として使用してください。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律

 高齢者虐待防止法は、平成18年に施行されました。

・高齢者虐待防止法の目的

 高齢者虐待の防止等に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援のための措置等を定めることにより、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律第1条

高齢者虐待にあたる行為

 高齢者虐待の分類は以下の5つに分けられます。(障害者虐待防止法における分類と同様)

❶【身体的虐待】

 ・高齢者の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること

❷【心理的虐待】

 ・高齢者に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと

❸【介護等放棄(ネグレクト)】

 ・高齢者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放棄、擁護者以外の同居人による「身体的・心理的虐待」また

  は「性的虐待」にかかげる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること

 ・高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること

❹【性的虐待】

 ・高齢者にわいせつな行為をすることまたは高齢者をしてわいせつな行為をさせること

❺【経済的虐待】

 ・養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不要に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得る

  こと

 ・高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること

令和3年度の高齢者虐待件数は過去最多に

 令和3年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果によると、令和3年度に「介護施設・事業所の職員が加害者となったケースをみると、昨年度に虐待と判断された件数」「介護施設・事業所の職員が加害者となったケースの昨年度の相談・通報件数」は、過去最多となりました。

厚生労働省ホームページ「令和3年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」より転載

介護施設・事業所の職員が加害者となったケースをみると、昨年度に虐待と判断された件数  739件

介護施設・事業所の職員が加害者となったケースの昨年度の相談・通報件数        2,390件

高齢者虐待の発生要因

 令和3年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果による虐待の発生要因は以下のとおりです。

・「教育・知識・介護技術などに関する問題」が56.2%

・「職員のストレスや感情コントロールの問題」が22.9%

・「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」が21.5%

 厚生労働の担当者の見解としては、虐待の相談・通報や発覚が増えている背景について、「介護現場で虐待防止の意識が高まっていることが一因」と説明しており、このほか、厳しい人手不足や労働環境などが影響している可能性もあるとしています。

高齢者虐待防止研修の事例検討

 高齢者虐待は、不適切なケアの連続性から虐待へつながっていく可能性が指摘されています。

 事例検討を行うことで、自分自身の介護をふり返るとともに、普段気づかない不適切なケアを共有することで、虐待防止の意識が高まります。

事例対象者

 ご利用者A様(85歳女性入居者) 要介護4 アルツハイマー型認知症

・何かにつかまれば立ち上がることは可能

・食事はセッティングすればご自分で食べることが可能

・その他、日常生活全般に介護を要する

・ひとりの時間で不安になると「お~い、お~い」と大声で誰かを呼ぶ

・声をかけると頷いたり、その場での受け答えはできるが、話のつじつまが合わないことがある

【事例】ご利用者A様に対する介護士Bの対応①:食事から臥床場面

 介護Bは、感情の起伏が激しく、いつもイライラしている。朝の食事介助が進まず、時間がない中、利用者A様の食事を食べる手が止まっていた。

 介護B「なんで早く食べないの?早く食べないと終わりにするよ!!」

と声をかけ、スプーンを使って無理やり食事を口の中に運んだ。

 食事が終わり、利用者A様が「お~い、誰か!」と大声を出し始めた。ひとりきりになり不安だった様子。

 介護B「うるさいな!他の利用者が迷惑してるんで、黙ってもらっていいですか?」

と言って、それ以上何も言わずに利用者A様を居室へ連れていき、ベッドで休んでもらった。しかし、利用者A様の誰かを呼ぶ声は止まらなかった。

【事例】ご利用者A様に対する介護士Bの対応②:声出しへの対応から排せつ介助の場面

 声出しが止まらない利用者A様に対して、

 介護B「うるさいって言ったでしょ。他の人から苦情になってますよ!」と言い、強く居室の扉を閉めた

 排せつの時間、利用者A様はつかまり立ちができるため、日中はトイレに座っていただくことになっている。トイレにお連れし、立ち上がって頂こうとするが思うようにいかず時間がかかっていると、

 介護B「早く立って!なんで立てないの?おしっこ漏らしちゃうよ。」と声をかけた。ようやく立ち上がることができたが、介護Bはすかさず無理やり腰の向きを変え、ドスンッと勢いよく便座に座らせた

 利用者A様「痛い、痛いよ。」と思わず言葉を発したが、

 介護B「早くしないあんたが悪いんでしょ。」と反論した。

【事例】ご利用者A様に対する介護士Bの対応③:

 午後の時間、ベッドで休んでいた利用者A様は、便が出て不快だったためコールボタンを押した。しかし、何度押しても介護Bは居室に来なかった

 10分ほど経って介護Bは居室に来たが、何も言わずにコールボタンを手の届かないところへ移動させ、利用者A様の手の甲をパチンッと叩いた

 その後、「誰か来てくれ~」と利用者A様が叫ぶと、介護Bが居室に現れた。便臭がすることに気づいたが、

 介護B「Aちゃん、うんこしたの?汚いね~。まだ時間じゃないから交換しないよ。」そのまま放置した。  日常的に高圧的な態度が見られ、他のご利用者も介護Bがいると不穏になりやすい

虐待防止研修 個人ワーク①:問題となる対応と虐待の分類

 介護Bの対応について、どの言動がどの分類の虐待にあたると思いますか?

 介護Bの行動を確認しながら、自分自身もそのような言動をしたことがないか、併せて考えてみましょう。

虐待防止研修 個人ワーク②:虐待を目撃した時のあなたの対応

 あなたが、介護Bと同じフロアで働く職員であった場合、どのように行動するべきだと思いますか?

 あなた自身、そのような場面を目撃したら、どのように行動するでしょうか?また、同じ部署のメンバーとして、そして施設としてどのように対応すべきかを考えてみましょう。

高齢者虐待に対する対応

 高齢者虐待防止には、以下のような対応が必要になります。

①高齢者の虐待防止

②虐待を受けた高齢者の迅速で適切な保護

③養護者に対する適切な支援

 まずは、早期発見が重視されています。そのうえで、発見者には「市町村への通報」が義務付けられています。

まとめ

 ○高齢者虐待の発生件数及び相談・通報件数は過去最多を更新した。

 ○日頃のご利用者の様子の変化に気づき、声に出していくことが重要。

 ○高齢者虐待につながる不適切なケアが行われていないか点検する。

 ○疑われる行為が発生した場合は、速やかな対応が必要である。

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