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【職場の環境改善】相談員・介護職員に必須の効果的なコミュニケーションスキル「アサーション」について学ぶ

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ほしくず

生活相談員(社会福祉士,介護福祉士,介護支援専門員,実習指導者) デイサービス、ショートステイ、特養の生活相談員を15年以上経験して感じた相談員の楽しさ、業務に役立つ情報、楽しく働くコツをわかりやすく解説。現役だから分かる仕事のテクニックや情報をお届けします。

 こんにちは、社会福祉士のほしくずです。

 今回は、施設で働く生活相談員や介護職員が、業務を円滑に進めていくために必要なコミュニケーションスキル「アサーション」について解説していきます。

 介護や福祉の職場において、コミュニケーションは重要な要素であり、相手を尊重しつつも自分の意見や主張を伝えなくてはなりません

 そんな時に重要となるコミュニケーションスキルが「アサーション」です。

こんな人におすすめ

他職種との連携がうまくとれない

態度がきつくなり、職員間で軋轢が生まれてしまう

自分の考えをうまく伝えられない

 アサーションを理解し、意識して行動することで、効果的なコミュニケーションにつながり、業務が円滑に遂行できるようになります。

 特に、コミュニケーションが仕事の基本となる生活相談員には、必須のスキルになりますので、ぜひ参考にしてみてください。

アサーションとは何か?

 介護や福祉の業務を行うにあたって、コミュニケーションはとても重要です。

 ご利用者の会話はもちろん、職員間との情報共有他職種との連携関係事業所との調整など、あらゆる場面において基本となるのがコミュニケーションだからです。

 ここでのコミュニケーションは、ただ会話ができれば良いというものではなく、相手の意見や感情を十分に理解し、尊重しつつも、自分の考えをきちんと伝えることが必要となります。

 そんな時に必要となるコミュニケーションスキルが、「アサーション」です。

アサーションを身につける意義

 アサーションとは、相手を尊重しつつ自分の意見をきちんと伝えるコミュニケーション方法の一つです。

 アサーティブなコミュニケーションを身に付けることで、なかなか伝えにくい事をきちんと相手に伝えることが出来るなど、対等なコミュニケーションを取ることが出来るようになります。

 立場や勤続年数、職種などにより遠慮したり卑屈になることなく、相手を尊重しつつも対等な立場で議論するという事が出来るようになります。

≪≪伝え方・コミュニケーションスキルを身につける!≫≫

 アサーションを身につけることで以下の3つのメリットがあります。

アサーション習得によるメリット

1,様々な意見やアイディアの創出

2,人間関係の円滑化

3,相手を不快にさせない断る技術の習得

 それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

アサーション習得のメリット①:様々な意見やアイディアの創出

 自分の立場や職種だけに拘り、意見や主張をしているだけでは、なかなか自分の意見を言えない閉鎖的な職場になってしまいます。

 委員会や会議などでは、なるべく多くの意見が出たほうが、より良い意見やアイディアが出やすくなりますし、納得の得られる結論を出しやすくなります。

 アサーティブなコミュニケーションを意識することで、相手の意見を尊重しながら、自分の意見を主張することができます。

 話しやすい雰囲気を作り出したり、有意義な会議を行うことにつながります。

アサーション習得のメリット②:人間関係の円滑化

 自分の立場や職種などを守ろうとしたり、ストレスや疲れている状況で、自分の意見を主張しようとすると、ついつい強い口調になってしまうことがあります。

 強い口調や態度は、相手を不快にするだけでなく、その後の人間関係にも悪影響を与えてしまいます。一度生まれた不快感や不信感は、簡単になくなることはありません

 アサーティブなコミュニケーションを意識することで、相手に不快を感じさせることなく、適切に自分の意見を伝えることが出来るようになります。

 そのためアサーションは人間関係を円滑にするために有効だと言われています。

アサーション習得のメリット③:相手を不快にさせない断る技術

 職場や業務上では、相手に不快感を感じさせずに断ることが必要な場面があります。

 生活相談員であれば、困りごとや頼みごとのお話をもらう場面が多くあります。全てを対応していては、本来必要なはずの業務に手が回らないことも出てきます。

 内容によっては、そのお話を断らなければならないこともあります。

 その際に、自分の都合や忙しさを一方的に伝えたり、歯切れの悪い伝え方をしてしまうと、相手を不快にさせてしまいます。

 攻撃的にならず、相手を尊重しつつ申し出を断るために、アサーションという考え方が重要になります。

アサーション習得のためのコミュニケーションスタイルの理解

 アサーションを身につけるにあたっては、まず自身のコミュニケーションスタイルを知っておくことが必要です。

 また、アサーションを実践していく場面では、相手がどのコミュニケーションスタイルなのかを理解しておくことも重要です。

 アサーションを習得していく上で理解しておくべきコミュニケーションスタイルは、以下の3つの分類されます。

コミュニケーションスタイル

1,アグレッシブ型

2,ノンアサーティブ型

3,アサーティブ型

 それぞれの分類について、詳しく見ていきましょう。

コミュニケーションスタイル①:アグレッシブ型

 自分の立場や職種、その専門性を前面に出して、ただ自分の意見や主張を強く表現するコミュニケーションスタイルです。

 一方的に自分の意見を押し通そうとする姿勢が顕著に見られ、強い口調になったり、声が大きくなったりして相手より優位な立場に立とうとしてきます。

 このスタイルでは、他の人の意見や考えに対して、「でも...」「う~ん...」といった相手を受け入れられないような言葉が多くなります。

 アグレッシブ型のコミュニケーションが行きつくのは、施設の成長やチームワークによる課題解決ではありません

 「相手に負けたくない」「自分は正しいことを言っていることを認めさせたい」という自己顕示欲の維持が目的になってしまいます。

コミュニケーションスタイル②:ノンアサーティブ型

 自分の考えや意見を言わず、周囲の意見に合わせようとするタイプです。

 組織の中では、先ほどのアグレッシブ型の強い態度に流されていく人が多いような印象です。

 多くは自分に自信がなく、「間違ったことを言いたくない」「相手に否定されたくない」という恐れから自己主張ができない場合が多いです。

 このタイプの嫌なところは、自分の意見は言わないのに、誰かが決めたことに文句を言ったり、ダメ出しをしたりするところです。

 そのため、自分の立場を守ろうとする発言や言い訳が多くなるのが特徴です。

コミュニケーションスタイル③:アサーティブ型

 アサーティブ型は、相手の立場も尊重しつつ、自分の意見も主張できるコミュニケーションスタイルです。

 自分の考えを強引に押し付けたりせず、相手の立場やその場の状況に応じて適した表現方法を選択することができます。

 そのために、同じことを伝えるにも、相手のよって口調や態度、使用する言葉を適切に選択することができます。

 「アグレッシブ型」のようなチームワークを乱すような言動もなく、「ノンアサーティブ型」のように自分の意見を言わないということもありません。

 アサーションを意識したコミュニケーションが目指すのが、このアサーティブ型です。

アサーティブなコミュニケーションを身につける方法

 では、アサーティブなコミュニケーションスタイルを身につけるには、どのようなことを意識していけば良いのか?

 その具体的な方法を解説していきます。

 アサーションの要点や考え方を理解し、意識的に行動することでコミュニケーションスキルを向上させることができます。

 意識すべきポイントは以下の5つです。

アサーションを身につけるための方法

1,規則正しい生活

2,「自分」を主語にしてみる

3,「否定」や「批判」はしない

4,自分の感情に気づく

5,感謝を伝える

 それぞれ詳しく見ていきましょう。

アサーションの要点①:規則正しい生活

 アサーションを実践していくための基本は、心身の健康です。

 心身が不健康な状態では、イライラしたり感情的になったりすることが多くなります。

 そのために、まずは規則正しい生活を送ることが必要です。

 十分な睡眠時間の確保は、脳の休息に必要です。脳が疲弊した状態では、冷静な判断や感情のコントロールが難しくなります。睡眠をきちんととることで、落ち着いて行動できるようになります。

 また適度な運動は、ストレス解消や幸せホルモンと言われるセロトニンの分泌を促します。運動習慣を身につけることで、心身の安定につながります。

アサーションの要点②:「自分」を主語にしてみる

 何か問題があった時や自分の意思に反することが起きると、相手を責めてしまう言葉が出やすくなります。

 そんな時は、自分の発言の主語を「自分(私)」に置き換えてみましょう。

・「(あなたは)なんでいつも報告が遅いの?」 ➡ 「(私は)あなたの報告がもう少し早いとすぐに対応できて助かるんだよ。」

・「(あなたは)介護なんだから、やるのが当たり前でしょ。」 ➡ 「(私は)介護する時に、こんな風にするとご利用者も安心できると思うよ。」」

 特にアグレッシブ型の人は、発言が「あなた」に向くと攻撃的になりやすいので、「自分(私)」を主語にして考えてみると良いと思います。

アサーションの要点③:「否定」や「批判」をしない

 「否定」や「批判」は、コミュニケーションを妨げる原因になります。

 それ以降、コミュニケーションが円滑になることはありません。「否定」や「批判」はコミュニケーションにおいて、デメリットしかありません。

 まずは、一度相手の考えや気持ちを受け止めるようにしましょう。

・「なるほど、そういう考え方もあるね。」

・「その考え方は思いつかなかった、ありがとう。」

 例え自分の意見と違っていても、相手を一度受け入れると、その後も意見が出やすくなり、コミュニケーションが活発になります。

 すぐに「でも...」「だけどさ...」という言葉がつい出てしまう人は、意識していきましょう。

アサーションの要点④:自分の感情に気づく

 相手のことを受け入れると同時に、自分の感情を認めてあげることも重要です。

 嫌なことを言われたり、不快な出来事があれば、人間誰でも感情が揺れ動くのは当たり前です。

 そんな時に、その感情のまま言葉を発したり、行動してしまったりすることは、ネガティブな結果につながりやすくなります。

・自分は今、嫌なことを言われてイライラしているな

・少し気持ちが昂っているから少し冷静になろう

 感情表現は人間に必要な能力です。その感情を自分自身が否定することなく、まずは受け入れて、その後にどう行動すべきかを考えるように意識していきましょう。

アサーションの要点⑤:感謝を伝える

 仕事中「すみません」「申し訳ないけど」と謝罪の言葉が多くなっていませんか?

 同じ事業所で働くもの同士、協力し合いながらご利用者にとって良い環境を提供していくことが重要です。

 もし、自分が何かをお願いする場合や手伝ってもらったことがあれば、「すみません」より「ありがとう」と感謝の言葉を伝えましょう。

 「感謝」には様々なメリットがあります。詳しくは以下の本に詳しく紹介されていますので、ぜひご一読いただければと思います。

 ついつい謝罪の言葉が出てしまいがちですが、ぜひ「感謝」を伝えることを意識してみてください。相手も「感謝」の気持ちお伝えられれば、嬉しいと思いますよ。

最後に

 アサーションを意識したコミュニケーションを身につけることは、職場のコミュニケーションを円滑にし、人間関係の改善につながります。

 それは結果として、ご利用者の安心で快適な生活につながっていきます。

 コミュニケーションが基本となる福祉や介護に携わる者にとっては、必要なスキルです。

 ぜひアサーションを意識したアサーティブなコミュニケーションを心がけていきましょう。

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