こんにちは、ほしくずです。
次回の介護報酬改定に向けた動きが、関係各省庁で活発になってきました。厚生労働省をはじめ、財務省も介護報酬改定に関する提言が示されてきています。
今回の介護報酬改定では、以下の2つが大きなポイントとなっています。
介護報酬改定のポイント
○介護保険の給付範囲の見直し
○利用者の負担の見直し
生活相談員は、介護保険制度改正や介護報酬改定については、常に情報を収集し、施設の運営や体制の確保などに関わっていかなければなりません。今回は、4月までに公表されている介護報酬改正に向けた内容についてまとめていきます。
こんな人におすすめの記事
・令和6年度介護報酬改定により、介護保険制度がどうなるのかいち早く情報収集したい
・施設の運営を考える材料がほしい
・介護報酬改定に向けた体制づくりを検討したい
高齢者の急増、現役世代の激減が進む中で、これからの介護保険の在り方を左右する改定になる可能性があります。
人手不足、BCP策定、ICTの活用、人材育成など多くの課題が存在する中、これからどう対応していくべきなのか?
早めの行動が重要になってきます。
令和6年度 介護報酬改定の論点
厚生労働省の社会保障審議会・介護保険部会は、介護報酬改定に向けての議論を開始しています。また、財務省においても、介護保険制度の持続を目的とした提言が出され始めています。
詳しくは、社会保障審議会・介護保険部会の資料をご覧いただきたいと思います。
現在、我々生活相談員が注目すべき介護報酬改定に関する論点は以下のとおりです。
介護報酬改定の論点
①ご利用者の自己負担割合の引き上げ
②軽度者への支援の方法
③介護現場の業務の効率化と生産性の向上
④科学的介護の推進・根拠ある介護サービスの提供
まず論点となってくるのが、社会保障費の増大に関することです。
財務省からの提言にも関係してきますが、社会保障費の増大により、介護保険制度を維持していくためには、財政面での健全化が課題になってきます。そこで必要となってくるのが、介護報酬の引き下げやご利用者の負担割合の増加などです。
事業所側の報酬を減らす、利用者の負担を増やす、この2点が最も手っ取り早い方法だからです。
しかし、安易な報酬の減額や負担の増大は、事業所の経営に大きな影響を与えたり、ご利用者のサービスの利用控えにつながったり、介護保険制度の役割を覆してしまうリスクがあります。慎重な議論が求められる部分です。
また、人材確保も急務となっている中で、業務の効率化や生産性の向上については、ICTや介護ロボットの活用など、技術面での向上が必要となってきますが、それに合わせて、現場で働く職員の考え方や価値観の変容についても考慮していかなければなりません。
報酬改定の論点① 介護給付の利用者負担を原則2割
現在、介護保険サービスの利用者負担割合は、個々の所得に応じて1~3割に設定されています。下記の表に示すとおり、負担割合が1割の方が全体の9割を占めています。
財務省の提言では、2~3割負担の範囲を拡大したい考えで、実現すればご利用者の負担増により、サービスを利用することが難しくなる方が出てくる可能性があります。
制度の持続性を優先し場合、負担増は避けられないというのが、財務省の考えです。
報酬改定の論点② 軽度者への支援の方法
こちらも財務省における議論の中で、要介護1・2を「軽度者」として定義することが求められました。
軽度者となるということは、つまり、要介護1・2の高齢者については、全国の市町村がそれぞれ介護予防などを展開する総合事業の枠組みに移すべきであるという意見になります。
総合事業とは
○正式名称「介護予防・日常生活支援総合事業」
○市区町村が中心となり、住民やボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人、共同組合など、多彩な事業主体によるサービスが提供され、これまでの介護サービス事業者による介護予防サービスに加え、高齢者自らサービスを選択し利用することができる
○「介護保険サービス=国の制度」「総合事業=自治体の事業」となる
介護保険の総合事業では、市町村が地域の実情に応じてサービスの運営基準や報酬などを独自に定めることもできるるもので、全国一律のルールに基づく給付とは異なり、インフォーマルな社会資源を活用して人員配置を緩和するなど、報酬単価を下げるなどの対応も可能となります。
単純に要介護1・2といっても、その状態や状況は様々です。認知症を抱えている方もいれば、単身で生活している人もいます。様々な状態や状況を考慮せず、「軽度者」として一括りにしてしまうのは、非常に安易な考え方であると思います。
報酬改定の論点③と④ 生産性の向上と効率化・科学的介護の提供について
介護報酬や加算、各種基準に関連する科学的介護情報システムLIFEの活用について、それに伴うアウトカム評価などに関連付けた加算、ICT化や介護ロボット活用による人員基準の緩和などについては、まだ具体的な議論は行われていません。
おそらく来年度の社会保障審議会・介護給付費分科会にて議論が行われるものだと思います。
生活相談員としては、厚生労働省・財務省などの議論を中心に、その動向を注視していくことが必要です。
令和6年度介護報酬改定 4月まとめ
次回、介護報酬改定に向けた動きが少しずつ始まっています。
今のところ、一貫して「利用者負担の見直し」と「介護保険給付の簡易の見直し」を中心に議論が行われています。
今年度末には、介護報酬改定の骨子が決まるものと考えられ、来年度には具体的な加算や人員基準などに関する議論が本格化することになります。
いずれにしても、今後の介護保険制度の在り方を見据え、注意深く動向を確認していく必要があります。今後も最新情報の収集とポイントをまとめていきたいと思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。