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【令和6年度義務化】全介護サービス事業者対象!高齢者虐待防止に関する取り組みでやるべき事を解説

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 令和3年度の介護報酬改定のポイントのひとつとして、「高齢者虐待防止の推進」が上げられていました。

 令和6年度までの3年間を経過措置がありますが、全介護サービス事業所が虐待防止に向けた取り組みを実施していかなければなりません。

【令和6年度義務化】介護保険制度改正で実施が義務付けられる内容6選まとめ:令和3年度改正では経過措置だった取り組み

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 具体的には、以下の内容になります。

虐待防止の推進に係る取り組み

・虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者 に周知徹底を図ること


・虐待の防止のための指針を整備すること


・従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること

上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

 今回の記事では、高齢者虐待防止の推進のために取り組むべき内容を踏まえ、具体的にどんな取り組みを行っていく必要があるのかを解説していきます。

 まだ高齢者虐待防止の取り組みについて、具体的に動き出していない事業所などは、ぜひ参考にしてみてください。

高齢者虐待防止法

 この法律は、平成 17 年 11 月 1 日に国会において「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」が成立し、平成 18 年 4 月 1 日から施行されました。

 高齢者虐待の防止等に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による高齢者虐待の防止に資する支援のための措置等を定めることにより、高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」

 この法律では、高齢者に対する虐待を禁止することはもちろん、虐待を発見した際には市町村への通報義務も定められており、虐待の早期発見・防止に関することも含まれた内容になっています。

高齢者虐待は過去最多に

 令和3年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果によると、

・介護施設・事業所の職員が加害者となったケースをみると、昨年度に虐待と判断された件数は739件

・介護施設・事業所の職員が加害者となったケースの昨年度の相談・通報件数は2,390件

厚生労働省ホームページより

となり、いずれも過去最多となりました。

令和3年度「高齢者虐待防止の推進」を義務化

 令和3年度の介護報酬改定の中で、全ての介護サービス事業所に対して「高齢者虐待防止の推進」が義務付けられました。

 内容は以下のとおりです。

虐待防止に必要な取り組み

・虐待の発生又はその再発を防止するための委員会の開催(定期的に開催)

・高齢者虐待防止に関する指針の整備

・高齢者虐待防止に関する研修の実施(年2回)

・虐待防止に関する担当者の選任

 

 また、運営基準についても以下の内容が加えられました。

運営基準の追加内容

  1. 入所者・利用者の人権の擁護、虐待の防止等のため、必要な体制の整備を行うとともに、その従業者に対し、研修を実施する等の措置を講じなければならない旨を規定。
  2. 運営規程に定めておかなければならない事項として、「虐待の防止のための措置に関する事項」を追加。
  3. 虐待の発生又はその再発を防止するため、以下の措置を講じなければならない旨を規定。
    ・虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること
    ・虐待の防止のための指針を整備すること
    ・従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
    ・上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

 この内容は、運営基準に追加された項目になりますので、この内容を実施できていなければ、事業所の運営をしていくことができないことになります。

虐待防止の取り組み①:定期的な委員会の開催

 高齢者虐待防止に関する委員会を定期的に実施することが必要です。

 「緊急やむを得ない場合」の身体拘束を実施している事業所では、身体拘束適正化に関する委員会と一体的に実施している場合もあるようです。

 委員会では、単に虐待の有無を確認するだけでなく「日頃のケアの中で虐待につながる不適切なケアが行われていないか」「ご利用者の対応について疑問に思うことはないか」など、事業所のケアの点検を行うと良いと思います。

 虐待は、認知症のご利用者に対して起こりやすいため、ケア内容の点検を行うことで、認知症ケアの質の向上にもつながります。

虐待防止の取り組み②:高齢者虐待防止に関する指針の整備

 高齢者虐待防止に関する指針の整備が必要になります。

 この指針に含まなければならない内容は以下のとおりです。

指針に必要な項目

施設における虐待防止に関する基本的考え方

虐待防止検討委員会その他施設内の組織に関する事項

虐待防止のための職員研修に関する基本方針

虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針

虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項

成年後見制度の利用支援に関する事項

虐待等に係る苦情解決方法に関する事項

入所者等に対する当該指針の閲覧に関する事項

その他虐待防止の推進のために必要な事項

 事業所によっては「身体拘束及び高齢者虐待防止に関する指針」として一体的に整備している事業所もあります。

 指針の作成に時間をかけたくないという方は、こちら➡【そのまま使える】「身体拘束廃止及び高齢者虐待防止に関する指針」書面監査・実地指導対策」を参考にしてみてください。

虐待防止に関する取り組み③:高齢者虐待防止に関する研修の実施

 高齢者虐待防止に関する研修を年2回実施することが必要です。同じく身体拘束防止に関する研修も年2回必要なことから、こちらも一体的に実施すると効率的です。

 「身体拘束及び虐待防止に関する研修」という形で実施することをおススメします。

 どんな研修をすれば良いのかお悩みの方はこちら➡【すぐ使える】法定研修「高齢者虐待防止に関する研修 資料・動画付き」をご活用ください。

 YouTubeチャンネル「社会福祉士ほしくず【福祉の学び舎】」では、研修動画も公開していますので、参考にしてみてください。

虐待防止に関する取り組み④:虐待防止に関する担当者を選任

 施設の虐待防止に関する取り組みを行う担当者を選任しましょう。

 ただ選任するだけでなく、定期的に虐待に関するチェックシートを活用した点検を行ったり、研修内容の検討したり、虐待防止に関する掲示などの仕事を担うことで、その役割を明確にできるようにしておきましょう。

義務化まで残りわずか

 今回は、令和3年度の介護報酬改定で示され、令和6年度には全介護サービス事業所義務化となる「高齢者虐待防止の推進」。

 BCP(業務改善計画)の策定にそれに係る研修や訓練も併せて義務化されますので、早めに準備を進めていきましょう。

【2024年義務化】介護施設の業務継続計画(BCP)に係る研修 BCPの意義と策定方法

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 今回の記事で、虐待防止に関する取り組みのきっかけになって頂けたら嬉しいです。

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