こんにちは、ほしくずです。
生活相談員は、相手の話を聞き、その言葉の裏にある想いや潜在的な課題を引き出し、共に課題を解決していくことを業務としています。
「生活相談員の心理テクニック」では、その業務で役立つ人の心理に関する情報をお届けします。
この記事の内容
・第一印象が大切な理由
・第一印象がその後にも影響する「初頭効果」とは?
・心理学者ソロモン・アッシュによる「初頭効果」の実験
・良い面も悪い面もいつの間にか広がる「ハロー効果」とは?
・実は最後も大事という話
では、さっそくいきましょう。
人の評価は第一印象で決まる
初対面の人に会ったときに、その人の印象を何で判断しますか?
まだ話をしたことがない人であれば、身だしなみや態度、表情や最初の挨拶などで判断すると思います。
こんな経験はありませんか?
こんな人に会ったら
・有名大学出身という肩書
・元気のいい挨拶
・きちんとした身だしなみ
・「この人は、とても優秀な人間だ」と紹介される
まだ話をしたこともなく、仕事を一緒にしてもいないのに、あなたはこの人に対して「優秀な人なんだ」「話しやすそうな人だな」「しっかりしてる人だ」という評価をするのではないかと思います。
逆に下記の画像のような人に会ったらどうでしょう?
服装はきちんとしていますが、「優秀な人」「仕事ができる人」なんて印象はなく、「やばい人だ」「変わった人だ」という印象を受けると思います。
生活相談員の仕事に限らず、ビジネスの世界では第一印象がとても重要です。相手に良い印象を持ってもらうことで、良い関係を築いていくことができるからです。
そのためには、まず初対面のふるまいに意識を向けることが重要です。
人の印象は最初の3分で決まる!
と言われるように、初対面の印象はその人の印象やイメージを決めてしまうほど重要なものです。
第一印象の影響「初頭効果」とは?
第一印象が、その後の印象にまで大きな影響を与えることを「初頭効果」と言います。
信頼される生活相談員や話しかけやすい生活相談員は、最初の挨拶や名刺の受け渡し、身だしなみや話し方にも配慮して、第一印象で良い印象を与えられるように意識しています。
また第一印象で相手に良い印象を与えることによって、その後の自分の行動にも責任を持つことができます。いくら初対面で良い印象を与えても、その後の行動が伴わなければ、徐々に信頼感が失われていくからです。
そのためにできる具体的な行動は、【判明】信頼される・仕事ができる生活相談員が、当たり前(自然)にやっている5つの行動で紹介していますので、参考にしてみてください。
「初頭効果」がわかるソロモン・アッシュの実験
初頭効果を提唱したのは、ポーランド出身でアメリカを中心に活動した心理学者、ソロモン・アッシュ(Solomon Eliot Asch)です。
アッシュは1946年に、印象形成の実験によって初頭効果を実証しました。
「印象形成」とは、人の外見や性格など、観察者が確認することのできる限られた情報から、その人物の全体的な印象を形づくることを指します。
実験内容
実験は、とある人物の性格を表す形容詞を並べた紹介文を2つ用意し、それを読んだあとに、その人物に対してどのような印象を持ったかをチェックしたものです。
2つの文章は、内容がまったく同じなのですが、書かれている紹介文の並びが、Aグループ(ポジティブ)とBグループ(ネガティブ)で反対になるように構成されています。
- A:ポジティブな性格が先
知的、勤勉、信頼できる、用心深い、短気、嫉妬心が強い - B:ネガティブな性格が先
嫉妬心が強い、短気、用意深い、信頼できる、勤勉、知的
実験では被験者を2つのグループに分類し、AとBのどちらかを読んだあとに、観察者に対する印象をインタビューしたものです。
実験結果
まったく同じ性格特性を聞かせたにも関わらず、Aを読んだグループは観察者に比較的良い印象を、一方、Bを読んだグループは逆に悪い印象を持つと回答するという傾向になりました。
Aでは、欠点は多少あるが、全体的に良い印象の人。
逆にBは、根はいい人なのかもしれないが、付き合いづらい人という印象になったのです。
このようにして、最初に与えられた情報によって評価が大きく左右される「初頭効果」の影響を受けることが科学的に実証されました。
評価の広がりに影響する「ハロー効果」とは?
人の印象は、あるひとつの要素で、大きく変わってしまうことがあります。
社会福祉士や介護福祉士といった資格や主任生活相談員という肩書きを持っていたりすると、相手は無意識のうちにその人を高く評価してしまうことはよくあります。
逆に、望ましくない面をひとつでも晒してしまうと、評価を下げてしまうことにつながります。
これを「ハロー効果」と言います。
ハロー効果には、「良い・悪い」の目立った特徴を捉え、最終的な評価を歪めてしまう可能性もあります。
そういった面では、ハロー効果には2つの効果があります。
●ポジティブ・ハロー効果・・・「良い」特徴を捉え、実際よりも高い評価をすること
●ネガティブ・ハロー効果・・・悪い特徴を人の全体評価として捉え、実際の実力よりも低く評価してしまうこと
相手の良い印象を持ってもらうためには、印象を良くすると思われる要素を強調するのもひとつの方法です。名刺に取得している資格を書いたり、肩書きを記載するのも、ひとつのやり方としてできることでしょう。
最後の印象「新近効果」も重要
ここまで「初頭効果」や「ハロー効果」について解説してきましたが、実は最後に与える印象も重要になってきます。
生活相談員の関わりは、相談者と初回面談を行った後も続いていきます。そういった意味では、別れ際の印象もとても大切です。
「新近効果」とは、判断の直前に提示された情報が強く印象に残るというものです。別れ際の声のかけ方や態度によって、相手が「次も相談したい」「この人なら信頼できそう」という良い印象を持ってもらえるように気を配りましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、第一印象の大切さについて解説してきました。
この記事のまとめ
・人の印象(信頼されるか)は第一印象で決まる
・良い印象を与えたほうが、その後の関係を構築しやすい
・最後の印象が、次会いたいかと思わせるには重要
生活相談員は、相手との信頼関係を築きながら業務を行っています。ご利用者や家族だけでなく、職員や関係事業所の方とも関係を構築できるように、第一印象に意識を向けていきましょう。