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介護保険情報まとめ

【注目】介護職員等ベースアップ等支援加算がスタート!今後の待遇改善はある?

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ほしくず

生活相談員(社会福祉士,介護福祉士,介護支援専門員,実習指導者) デイサービス、ショートステイ、特養の生活相談員を15年以上経験して感じた相談員の楽しさ、業務に役立つ情報、楽しく働くコツをわかりやすく解説。現役だから分かる仕事のテクニックや情報をお届けします。

 こんにちは、生活相談員のほしくずです。

 令和4年10月の介護報酬改定で、「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」に続く第3の加算「介護職員等ベースアップ等支援加算」が追加されました。

 この加算は、岸田首相の介護職員待遇改善を目的とした改正で、令和4年2月の「処遇改善支援補助金」がそのまま加算に組み込まれた形にのものです。介護職員の3%賃上げを恒久化することなどを目的にしています。

 算定要件は以下のようになっています。

算定要件

既存の処遇改善加算を算定していること

加算額の3分の2以上を基本給または毎月決まって支払う手当ての引き上げにあてていること など

 ※他の職種にも一部振り分ける運用も可能

 この算定に関する計画書及び報告書の書式については、他の処遇改善加算の様式と一本化されました。

 詳しくは厚生労働省のホームページを確認してください。

 さて岸田首相は、令和4年10月3日の所信表明演説で、更なる待遇改善を掲げています。今後の待遇改善にかかる影響などを見ていきたいと思います。

待遇改善の一方で、利用者負担は増加

 「介護職員等ベースアップ支援等加算」がスタートとなり、介護職員の待遇は改善されますが、介護サービスを利用している方々は負担が増えることになります。利用した介護サービスの介護報酬に対して、一定割合を負担することになります。

 私たちの日常生活で言えば、消費税のようなものです。これを財源に介護職員の待遇を改善するわけです。

 介護報酬改定にあたっては、ご利用者や身元引受人の方に同意を頂かなくてはなりません。

 同意書を送付後に実際に頂いたお電話の内容がこちら↓です。

同意書に対する問い合わせ

利用料がどれくらい上がるんですか?

制度だから仕方ないけど、料金が上がるのはね...仕方ないけど

介護職員が、何か手厚い介護をしてくれるようになるんですか?

 社会保障としての介護サービスは、必要なものであると誰もが考えるところであり、介護職員が低賃金であることは世間も周知の事実です。

 しかし、いざ当事者となれば、利用料の実質増加になるわけですから、介護職員の待遇改善より利用料金が気になったり、負担増による対価を求めたりするのは、当然かと思います。

待遇改善してもサービスの質が上がるわけではない

 処遇改善加算は、全てご利用者の利用料からの負担になります。

 負担するのであれば、ご利用者やご家族であれば、「あの人にはいつもお世話になっているから」「この職員は、とても気持ち良く対応してくれるから」など、頑張っている人に多く分配してもらいたいと思います。

 施設の管理者からすれば、やはり「頑張っている人」「ご利用者に一生懸命関わっている人」に対して多く分配したいと考えるはずです。

 しかし実際は、スキルや知識、日頃の頑張りや接遇などに関係なく一律に分配されています。経験年数によって分配する配分が変わることはありますが、成長していない人でも年数だけでたくさん貰えてしまいます。

 今回の加算で言えば、無条件に基本給が上がるということです。

 普通の会社員であれば、スキルや知識を身につけて、実績を上げなければならないところ、介護では「やる気なし、不適切ケアのオンパレード、自分中心の介護」をしてる人でも基本給があがります。

 これでは、頑張っていない人、楽をしている人が得をする制度設計となっています。これでは、職員のモチベーションも上がりませんし、サービスの質の向上につながることはありません

 

社会保障費の圧迫

 今後、更なる介護職員の処遇改善をするのであれば、新たな財源が必要になってきます。介護報酬をプラス改定したり、新たな処遇改善加算を作ったりすることになります。これは、結果的に社会保障費の財源の圧迫につながります。

 人材が必要な介護業界ですが、財源を考えずに待遇だけ改善していけば、社会保険料や利用者負担の増額、社会保障費の圧迫につながっていくのです。

 

介護職員に自覚がない

 介護職員の待遇改善は、現場からも聞こえてくる声であります。しかし、これを当たり前と思っている職員も多くいます。制度の内容も知らずに、待遇改善されていく介護職員たちを多く見かけます。

 実際は、ご利用者からその待遇改善のためのお金を頂いているわけですが、その自覚がない職員があまりにも多すぎます。本来であれば、その分の価値を提供したり、自己研鑽に励んだり、サービスの質の向上のための取り組みをしていくべきだと思います。

 さも当たり前のように賃上げが行われ、まだなお待遇改善を求めるのに、自分たちは愚痴や文句しか言わない...これでは世間は納得しないことに気づくべきです。

 

最後に

 岸田首相が更なる待遇改善を行う可能性は、今後もあると思います。

 私も介護職員の待遇改善自体に反対するつもりはありません。しかし、待遇改善をしたからといって、人手不足が解消したり、ご利用者の満足度が上がるわけではありません。

 私たちは、サービスを提供する対価として、料金を頂戴しているわけです。待遇改善と並行して、サービスの質の向上につなげることは、私たちの使命ではないでしょうか。

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