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施設研修の資料

【研修資料あり】看取り介護(ケア)に関する研修の進め方

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ほしくず

生活相談員(社会福祉士,介護福祉士,介護支援専門員,実習指導者) デイサービス、ショートステイ、特養の生活相談員を15年以上経験して感じた相談員の楽しさ、業務に役立つ情報、楽しく働くコツをわかりやすく解説。現役だから分かる仕事のテクニックや情報をお届けします。

 戦後間もない1950年代には、自宅で死を迎える人がほとんどで、全体の約8割を占めていました。

 その後は次第に医療機関で亡くなる方の割合が増加し、2000年代には約8割に達し、在宅で死亡する人との割合が完全に逆転しました。日本では長年の間、病院が最も一般的な最期を迎える場所として認識されてきました。

 しかし、近年の社会情勢の変化とともに、「人は病院で亡くなるもの」という認識も変わりつつあります。

 最近では、介護老人福祉施設有料老人ホームなどでも、看取り介護を実施する施設も増えてきており、施設が終の棲家としての役割を担っていることが、世の中でも少しずつ認識されるようになってきています。

・看取り介護・ケアでどんな研修をすれば良いのか考えている方

・施設の看取り介護・ケアについて悩んでいる方

・看取りについて何から学べば良いのか分からない方

 このような悩みを解決できる内容になっています。

 今回は介護の現場で求められる「看取り」についての概念や看取り介護の質の向上のために、看取り介護・ケアに関する研修の重要性・必要性について解説していきます。

 

そもそも看取り介護とは何か?

 看取り介護・ケアとは...

・人が自然に亡くなっていくまで、必要なケアを行いながら見守る過程のこと

・「死期」が近づくことにより生じる様々な身体的苦痛・精神的苦痛を緩和・軽減することにより、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること

 看取り介護は、その方がその方らしく自然な形で死を迎えることを支援することです。

看取り介護とターミナルケアの違い

 一般に「病気で死が身近に迫っている時期=終末期(ターミナル)に行われるケア」と定義されるケアをターミナルケアと言います。

 「ターミナル」は終末期医療と言い換えられるように、終末期における医療や看護を提供するケアです。

 一方で看取り介護とは、身近に迫った「死」を避けられない状態にある人に対しての介護を提供することで、身体的・精神的な苦痛を取り除きながら、人としての尊厳を重視し、生活を支援していくことを目的としています。

 「医療行為」をメインとするか「生活を支援すること」をメインとするかが、ターミナルケアと看取り介護の大きな違いになります。

看取り介護を学ぶ重要性について

 今後、施設における看取り介護は増加してくることが予想されます。

 ようやく私たち介護従事者がこの分野に関われるような時代がやってきたとも言えます。そのためには、まず看取り介護についての考え方や正しい知識を身につけていくことが不可欠になります。

 そして、施設で働く職員全員が、その考え方を理解し、正しい知識を持って関わっていかなければなりません。

 施設における看取りに関する研修は、その役割を担っているのです。

多死社会に向けて看取りを学ぶ

 施設での看取り介護が今後増加していく最大の要因は、多死社会の到来です。

 厚生労働省の『令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況』によると、前年の 84 万 835 人より 2 万 9231 人減少し出生数は 81 万 1604 人となっています。

 一方で、死亡数は 143 万 9809 人で、前年の 137 万 2755 人より 6 万 7054 人増加し、死亡率(人口千対)は 11.7 で、前年の 11.1 より上昇しています。

 この「生まれる人」より「死にゆく人」の方が多い傾向は、今後も続くと予想されています。このようにして人口減少が加速していく状況「多死社会」と言います。

 この「多死社会」における問題のひとつが「看取る場所」です。現在8割以上の人が病院で死を迎えていますが、この状況が続けば、いずれ病院だけでは対応ができなくなります。

 在宅や施設での看取りが今後増えていくと予想される中で、今のうちから看取りについて学んでおく必要があります。

施設における看取り介護加算について

 2021年の介護報酬改定で、看取り介護加算に対する新たな枠組みが算定されました。

 「現行の死亡日以前30日前からの算定に加え、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける」とされ、新たに死亡日45日前~31日前についての算定区分が追加となりました。

 これは、施設における看取り介護の取り組みが評価されるようになったことと同時に、今後も施設における看取り介護が増加していくことを踏まえ、その取り組みを推進していこうとする目論見も伺えます。

看取り介護を学ぶ研修に必要な3つのステップ

 看取り介護の研修は、個々が学ぶことはもちろん、組織としてもその施設の目指す「看取り介護」を示していかなければなりません。

 「看取り」つまり「死ぬこと」については、その価値観や死生観が個人よって異なっています。また、核家族化が進む中、身内の死を目の当たりにしたことがない人も増えてきています。

 そのような状況下で、闇雲に看取りに関する研修を行っても、共通の認識を持って、質の高い看取り介護を提供することは難しくなります。

 看取り介護に関する考え方を統一し、正しい知識を身につけていくためには、正しい手順で研修を行っていくことが必要になります。

 その3つのステップがこちらです。

看取り介護を学ぶ3つのステップ

1,自分の「死」に対する考え方・死生観を知ること

2,施設における「看取り介護」の共通認識を確認する

3,「看取り介護」の事例を通じて実践力を高める

 「個人⇒組織⇒実践」という流れで体系的に研修を行うことで、施設全体で看取り介護に関するレベルアップを図ることができます。

ステップ1 自分の「死生観」を知ること

 まずは、自分自身が「死」についてどのような考えを持っているのか、「死生観」について知ることが大切です。

 普段の生活の中で、身近に「死」と向き合う出来事がなければ、「死」や自分の「死生観」について考えることはほとんどありません

 「死」や「死生観」について考える機会や経験が少ないと、看取り期になったご利用者の気持ちやその当事者であるご家族の気持ちを推察する力が十分に育っていません。

 看取り介護研修「死生観」については、こちらの研修資料がおすすめです。

【研修資料・動画】看取り介護(ターミナルケア)に関する研修「死生観を知ることの重要性」

続きを見る

 その中で看取り介護を実践していくと、ご利用者やご家族の気持ちや意向よりも、リスクや手間といった介護する側の都合を優先する思考に陥りやすくなります。

・自分がどのような最期を迎えたいと思うのか

・家族や身近な人が死に直面した時に、どう関わってあげたいと思うのか

 この「死生観」を知ることが、より良い看取り介護を実践していく上での第一歩となるのです。

ステップ2 施設における「看取り介護」の共通認識を確認

 個々の「死生観」について知ることができたら、次は組織としてどのような「看取り介護」を行っていくべきか、その方向性を示していくことが必要になります。

 ポイントとしては、以下の内容について研修を行っていきます。

・看取り介護に関する指針

・看取り介護に関するマニュアル

・「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」

 「指針」や「マニュアル」については、各施設でご用意されているものを再度確認していただき、「現状の体制に沿った内容になっているか」「医師(嘱託医)との認識にズレはないか」などをチェックしておく必要があります。

 そして、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」については、まだ目を通したことがない職員もいるかもしれませんが、令和3年度の介護報酬改定において、看取り介護加算の算定要件に位置付けられているものになります。

 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」は、施設での看取り介護で大切にしなければならない考え方やその手順が詳しく記載されています。

 看取り介護研修「看取り期の基本姿勢」については、こちらの研修資料がおすすめです。

【研修資料・動画】看取り介護に関する研修「看取りの基本姿勢を学ぶ」 

続きを見る

 この内容をきちんと職員ひとりひとりが理解し、看取り介護を実践していくことが大切です。

ステップ3 看取り介護の事例検討を通じて実践力を高める

 個人の学びと施設職員が共通認識を持つことができたら、事例検討を通じて実践力を高めていく研修を行っていきます。

 「食事」や「活動」や「面会」など具体的場面を設定して、看取り介護を行う上での話し合いを重ねていきましょう。

 ポイントとしては以下の通りです。

・なるべく多くの意見を引き出すことを意識する

・否定のない環境で行う

 事例検討では、より多くの意見が出た方が、より良い看取り介護を行う上でのヒントになります。

 看取り介護研修「看取りに関する事例検討」については、こちらの研修資料がおすすめです。

【研修資料・動画】看取り介護に関する研修「看取り期の食事の考え方について(事例検討)」

続きを見る

【研修資料・動画】看取り介護に関する研修「看取りのご利用者に私たちができること」(事例検討あり)

続きを見る

 その中で、意見の相違もあるかもしれませんが、それに対して否定的になるのではなく、様々な考え方の中で、より良い方法を考えていくことで実践力を高めることにつながっていきます。

研修を行う上での注意点

 看取り介護に関する研修について3つのステップを紹介してきました。

 ここで、研修を行う際の注意点について確認しておこうと思います。

研修を行う上での注意点

・研修は複数の職員、多職種で行う

・研修の意図が伝わるように、可能な限り全員に対して対面で行う

・研修で学んだことを実践する

 研修は複数の職員かつ多職種で行うことが理想です。ひとりの職員、ひとつの職種で行ってしまうと、その職員やその職種の考え方や意向が強く反映されてしまう可能性があります。多面的な意見を取り入れた研修にすることで、多くの職員が理解しやすく、また納得できる研修にすることができます。

 また研修は、可能な限り職員全員に対して行うことが重要です。特に「看取り介護」など日頃の介護に直接的に関わる研修は、職員が共通の理解と認識を持つことが必要です。コロナ渦で一度に多くの職員が参加することは難しいかもしれませんが、対面で多くの職員が参加できるように日程を増やすなどの工夫をしましょう。

 そして、研修で学んだことをどう実践していくのかが一番重要です。研修で理解したつもりになっても、それが実践に活かすことができなければ、ただの自己満足になります。インプットだけでなく、きちんとアウトプットの機会を作ることを心がけましょう。

まとめ

 この記事では、看取り介護を学ぶ重要性と看取り介護に関する研修をより効果的に行っていくための3つのステップについてお話してきました。この3つのステップに沿って研修を進めていくことで、現場の実践力を高めていくことができます。

 今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ看取り介護について考える機会を作って頂けたらと思います。

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